堀川バスで八女へ出る。

駅前のバスセンターから八女・黒木方面行きの堀川バスが発着している。

行先幕の亀の甲、は八女の中心市街地の地名のひとつ、という訳で八女経由黒木行きのバスがぼんやりと客を待っていた。待合室もバスの車内もクーラーは入っておらず、とにかく暑い。

さてこの堀川バス、八女、柳川に路線をもつ小さなバス会社だ。西鉄グループじゃないんだよね、貸切車は福岡でもよく見るし、おそらく安いからかな、学校行事でも福岡北部の常連さんだ。地方のこういう会社の例に漏れず経営は苦しいようで、路線バスの大幅廃止、とか路線バス事業からの撤退とかいろんな噂もあったし、現実にかなり厳しく、観光事業の売却を発表している。


福岡県南部で路線バスと観光バスを運行する「堀川バス」(福岡県八女市、金納雅彦(きんのうつねひこ)社長)は、8月1日付で観光バス事業を自動車学校「マイマイ」グループ(福岡市中央区、三戸道雄社長)に売却する。グループは新会社「堀川観光バス」を設立し観光バス事業に参入、路線バス事業は堀川バスが新会社を設立して継続する。
 堀川バスによると、約15億円ある債務を減らすため売却を決定。観光バス42台や八女市本村の本社の土地・建物、関連会社の株式を売却する。
 「堀川観光バス」は、本社を同市本村に置き、社長は金納氏が務める。一方、路線バスは現在10路線37系統で運行しており、このうち八女市と同市上陽町を結ぶ「横山線」を廃止する。従業員120人はいったん解雇し、全員再雇用する。
 堀川バスは1928年創業。08年3月期決算で路線バス事業は約1億円の赤字で、国や県などから計1億500万円の補助を受けている。【松尾雅也】
売却によっても債務は残るんだろうか、そこのところが気になるところなんだけど。


 堀川バス(本社・八女市、金納雅彦(つねひこ)社長)が観光バス事業を売却することが明らかになった25日、路線バス事業が新会社に引き継がれることで利用者からは安どの声が聞かれた。しかし2007年度の路線バス事業は約9000万円の赤字。同社の収益の柱だった観光バス事業を切り離し、運賃収入と自治体などからの補助金でどこまで維持できるかは不透明だ。
 路線バス事業が継続されることに立花町の主婦(65)は「ほぼ毎日使う生活の足。維持してほしい」。通院で週3日利用するという八女市忠見の主婦(80)は「高齢者の大半はバスが移動手段。なくなってしまうと私たちは動けない」と訴えた。
 補助金を交付している八女市郡の自治体からは「車社会が定着したなか、乗客はそう簡単には増えない」と事業継続の困難さを指摘する声も。
 07年度に約1400万円の補助金を交付した八女市野田国義市長は「星野線に乗ったことがあるが、通勤通学に欠かせない足だと実感した。今以上の補助金の上積みは難しいかもしれないが、新会社は健全経営に努めてほしい」。立花町の田中礼助町長も「地方の足を守るため、国や県は財政支援を強化してほしい」と話した。

通学客と交通弱者だけでどの程度の収益が取れるのか、と思うと今後も厳しそうだよなあ・・・

さて、そんなこんなで待合室で乗車券を買って車内へ。車両は写真のとおり、久留米200か・・20、1988年製のいすゞ富士重P-LV314Kで鶴見臨港からの中古車とのこと。車令20年かあ・・・

イラスト入りの降車ボタンが変わってますなあ。

時間が来ると冷房を入れ、一向に冷えないまま盛大に走り出した。乗客は高校生など4名、国道をけだるい空気をのせて走ってゆく。国道をまっすぐ走り、市街地に入ったとたんわき道にそれ、最近の大型ショッピングモール「ゆめタウン八女」を経由してぐるっと1/4周するような感じで走る。

車窓からは市街地のはずれの大きなベスト電器。その隣はこれまた大きなヤマダ電器、そしてゆめタウン。期待を裏切らない、どこにでもある光景だ。

やがて市街地に入り、八女(福島)バスセンター着。あっという間にバスはターミナル内を一周して走り去っていった。

バスセンターのポスター。要は全路線で何らかの補助がされているということなのね。


なんだか時間が止まったようなバスセンターの内部、一日数本だけの支線行のバスをまっている。次に3番ホームから出るのはここからは日に一本だけの広川線だ。蒸し暑い時間だけが流れていく。