船小屋温泉

5年ほど前まで、久留米からR209を延々下って大牟田に至るバスがあって、その長距離を国道をただ走っていく旧態依然っぷりに一度乗ってみたいなあと思っていた。今は羽犬塚の先、船小屋までの系統に短縮されているんだが、会議の帰り「直帰していいよ〜」という声にふらふらと乗ってみた。

乗ってみたところで、羽犬塚〜船小屋はものの数停留所、しかも本当に末端で利用者もがくんと減る。なんと言うこともない郊外の狭い国道を淡々と走って、あっという間に終点の船小屋についてしまった。


漠然と郊外型店舗とかもまばらになったあたりにぽつんとあるのが船小屋バス停。今は西鉄バス久留米筑後車庫を併設している。


周りは人家も結構多く、通行量も多いんだがなにか漠然とした国道。店らしい店はこのセブンイレブンくらいかだろうか、すぐ先が矢部川にかかる船小屋大橋。

廃屋・・・ではなくて、「貸店舗」のそんなに古くない看板がかかっていたので、どうやらまだ空き店舗らしい喫茶店は車庫の真向かい。決して立地は悪いわけではなさそうだし、かなり大きな店舗だったようだが。このほかにもこのあたり、ぽつぽつと廃屋が見られる。なんだか力尽きてそれっきり、という感じを受けるのは夕暮れ時だからだろうか。

このような感じで、周辺には何もない。バス停には船小屋温泉の案内板が掲げられているが、ところどころ白いスプレーで消されているのは店がなくなったからだろうか、それともヤンキーの落書きだろうか。地図からまだ消されていない、バス停の近くにある筈の店を探してみたが、地図に記載されたそこにあるのはただの空き地だった。多分これを見て温泉を目指す人なんてほとんどいないんだろうけれども。
向こうのほうにコンクリート作りの温泉ホテルが見えるのでぶらぶら歩いてみる。国道から信号を渡り、細い集落の道を歩いてゆくと、飲泉場に出た。

ここ船小屋温泉は、温泉、というよりも飲泉として有名で、この飲泉場もパンフレットなんかで何回か見たことがある。もうちょっと開けた場所にあるもの、と思っていたが、ホテルや民宿にはさまれたところにぽこっとあった。周りにはこれまた何もなく、平日の夕方だから当然なんだけれども人気もない。飲んでみると鉄の味がした。

すぐ横から川に降りられる。矢部川で、対岸には楠の自然林が広がっていて、夕方の暗闇に沈もうとしている。
季節によっては本当に気持ちよさそうな場所なんだが、なんかさびしいところだなあというのが今日の印象だ。もっと観光地として売り出したりできるんだろうか、正直ちょっと?なところがあるんじゃないかな、とも思ったりもするんだが、ゆっくり宿泊なんかしたらかわるんだろうか。


どうしても福岡から温泉、というと黒川や由布院、というあたりからはじまってしまう。本当に街に隣接した、すぐそこの非日常、ということで売り出している二日市温泉はあるが、福岡からみても船小屋というのは微妙な距離だ。街の中でもない、旅に出るという距離でもない。でも特に他に産業・・・というのも思いつかない。確かに、公共工事頼みになるのもわからなくも・・・