新幹線にさよならを

転職して一気に暇になった(!)この半年、最近はちょっとないがほぼ定時に上がると帰りの電車の中、吉塚駅あたりで新幹線に追い抜かれる。それが0系新幹線で、ああ、九州にはまだいるんだなあ、とか思っていたんだが、新幹線の博多開業から33年目の今年、ついに引退するという。いや、正直引退、という話はまあもちろんよく聞くので知っていたんだが、今月末で定期運用から離脱なんだってねえ、という訳でちょっと仕事帰りにふらりと見てきた。
 博多駅、いつもの通路を先に進み新幹線改札を抜ける。東京行きのぞみも最終便が迫ってくる時刻で、ところどころホームには大きな荷物を持った出張と思しき人の姿が診られるが、全体的にやはり閑散としている。こうしてみるといつも思うんだが、東京近郊の混み具合は異常・・・だなあ。

 それにしても新幹線の博多口の車両はバラエティにとんでいる。100系こだまと700系ひかりレールスター、700系、N700系ののぞみ、たまにくる300系、そしてこの18時〜19時台は0系こだまもしっかりと運用に入っており、あまり多くない新幹線需要を担っている。毎日繰り返されていた光景、日本の鉄道車両の代表的、時代をつくった車両だけに引退するというのはやはり、ああ時代が変わるんだなあという感じがする訳で。




ちょうど18:42分発のこだま674号が入線していたところだった。終点の新大阪には23:21分着、4時間半をかけて山陽路を上っていく地味な列車だ。先頭車のまわりには平日なのに数人の鉄な人たちと記念写真を撮るカップルとか、そして携帯のカメラを向けるサラリーマンのおじさん。個人的には、子供のころ新幹線なんて遠い存在だったこと、中学生になった1985年には100系が登場していることから、この0系新幹線には正直特段の思い入れというのはない。しかし、こうしてみるとみんないろんな思い出が特に詰まっているんだろうなあ、と思うのだ。まあ東京だったら大混雑になるんだろうけれどもね。


いつもどおりに引継ぎが行われ、発車準備が進められていく。運転席の後ろには0系のイラストか写真か。発車ベルがなり、ドアが閉まり、静かに出て行った。


その15分後、18時56分には小倉方からこだま769号が到着してくる。この列車はこのまま特急769Aとして博多南まで運転されるので、10分ほど前からホームには長い列が出来ていた。列車が到着、行き先幕が紺地の「こだま 博多」から白地の「博多南」にかわり、ぱらぱらと乗客が降りてきた後はゆっくりと列が動き始める。福岡の南部のベットタウン、那珂川地区の通勤通学の足としてすっかり定着したこの博多南線、ちょっと非日常のにおいのする新幹線もここでは毎日の通勤電車だ。0系も、ひっそりと運用についている。
ベルが鳴り、何人かが駆け込んできてドアが閉まった。いつもの光景なんだろう。