現代の名工、に製麺工の土屋さん

新聞を見ていたら、現代の名工に福岡県内から6人が選ばれた、という記事が載っていた。現代の名工、とは、厚生労働省が「卓越した技能者を表彰することにより、広く社会一般に技能尊重の気風を浸透させ、もって技能者の地位及び技能水準の向上を図るとともに、青少年がその適性に応じ、誇りと希望を持って技能労働者となり、その職業に精進する気運を高める」趣旨で毎年被表彰者を決定し、表彰しているもので、1967年の第一回から昨年2007年までに4,688名、現在は大体年に150名前後が表彰されているということだ。

今年は、新幹線の先頭部をハンマーでたたき出して整形し、これまで0系から300両余に携わってきたという國村氏などが報道されているが、福岡からはうどん職人の方が受賞されている。


「博多うどんはダシで食べる」「めんは、唇で切れるほど軟らかい」ともいわれる伝統の面に、創業明治23年(1890)年の、福岡市随一の老舗の3代目は、いつしか疑問を感じ始めていた。「もっと、めん自体のうまみを出さないと将来が危うい」
試行錯誤の末、8年ほど前に「中世博多うどん」を10年がかりで商品化した。02年に福岡市麺類商工協同組合で商標登録し、製法も公開して組合員の財産にした。
(中略)誕生した面は褐色。小麦を製粉する段階でそぎ落とされた灰が、ふすまを少量戻し、加えたためだ。いままでのうどんにない風味を醸し、ほどよいコシも生まれた。伝統のもちもちした歯ざわりはそのままに、芯の強さも両立させた。工場内には、焼きたてのパンから漂う、甘い小麦のような香りがたつ。
ヒントは歴史にあった。13世紀半ば、僧侶が宋から製粉技術を持ちかえり、粉引きの技とうどんやそばが伝承されたのが博多だったとされる。その僧侶が残した水車製粉工場の設計図を見て、胚芽などをめんにのこす製法を思いついた。
(後略)
朝日新聞の記事が一番詳しかったので、部分的に引用させていただいた(11/11朝日新聞福岡面)。福岡のうどん、というと、外まで漂ってくるダシの香り、そして腰のない麺が特徴だが、そんな中新しいうどんの普及に尽力されているとのこと。やっぱりみんないつものうどんの味に慣れ親しんでいるので、一般にはどうなのかなあ?という気持ちと、でもこのままお客さんの高齢化がすすむとどうなるの?と二つのことを考えてしまう。おそらくそういう思いも込められたうどんでもあるんじゃないかと。そして、美味そう。

これまた行きにくい場所にあるんだが、一度いってみないと。