また一つ歴史が。



福岡県大牟田市の中心部にある銀座通り商店街で、かまぼこを製造販売する老舗「紀文かまぼこ」が今月31日限りで閉店し、創業から113年の歴史に幕を閉じる。三池炭鉱閉山後の人口減少に伴う売上の落ち込みに加え、4代目社長の平河剛さん(65)が体調を崩し「苦渋の決断」をした。
 同店は平河さんの祖父福太郎さんが1895(明治28)年、鮮魚店「平河商店」として現在地で開業。昭和に入り、地元有明海産の魚を使ったかまぼこ専門店に生まれ変わった。
 平河さんは「魚本来の味を引き出すのが使命」と、保存料を使わず、手作りにこだわってきた。気温や湿度によって製造過程を変え、大量生産ではまねできない味を追求した商品は、全国かまぼこ品評会などで計40回の受賞を重ねた。
 高度成長が続く1970年代のピーク時には、一日約300人が来店したという。その後、スーパー進出などの影響もあり、今では一日10人ほど。売上も10分の1程度まで落ち込んだ。市内に約20件あったかまぼこ店も現在はわずか3軒。
 かつて買い物客であふれた商店街は中核の百貨店「松屋」が閉店し、シャッターを下ろした空き店舗が目立つ。平河さんは更地になった松屋跡を見て「時代が変わり、自分の仕事は終わった」と閉店を決意、職人として働く長女石江渉さん(32)に継がせることもあきらめたという。「今はお世話になった人に感謝の気持ちでいっぱいです」と話している。
「紀文かまぼこ」は「紀文食品」(東京)とは無関係。

大牟田市には今年の7月だったかな、に遊びに行って、そのまま写真を載せよう載せようと思いながらそのままになっていた。ぱらぱらとおばあちゃんの姿ととびとびに開いているお店のアーケードをとことこあるいていき、国道まであと一息、西鉄とJRが走る踏切の脇にこの「紀文」はある。いったのは平日の夕方4時過ぎだったのだが、人通りはまばらで、すぐ200mほど先の国道には車が多いのに別世界・・・の様だった。
この紀文さん、買い物のときにいろいろお話させていただいたんだが、かわりかまぼこや飾りかまぼこでメディアなどにもよく出られていたり、品評会にも積極的に出品されていたりと大変意欲的なお店だった。もちろんそんなところのかまぼこは正直「こりゃかまぼこかいな」というほど美味でそのあとも買いに行ったり、ファンだったので閉店の知らせにびっくり。ネット通販もやっていたりして、お店にくるお客さんは少なくてもなんとかがんばっているんだなあ、と思っていただけになおさらだ。
きっと大型店の中にテナントとかではいればかなりのお客さんがきてくれるんだろうが、きっとそれはずっとこの場所で作っている「紀文のかまぼ古」ではないんだろう。大牟田の町で生まれ、この場所で作ったかまぼこをお祝いに、正月に決まって使ってきた人は多くいるはずだ。作っている人が見え、使っている人が見える。歩いている人たちも知っている、そういう街じゃなかったんだろうか。覗き込むと店の向こうには作業台があり、鈍く光る機械やなべが並んでいる。

とにかく残念だが、なんとか街として復活してほしいと願うばかり。大牟田の街中の崩壊度は末期的じゃないかと思うのだ。確かに新しい街に生まれ変わっている、その必要もあるんだ、そういうこともわかるんだけれども、あまりにも過去と切り離されているような気がしてさびしいのだ。