直売所のある生活

日曜日の朝は9時前に車に乗り、山に向かって数キロの市営公園に行くところから始まるわけで。

市街地からも離れて九州自動車道もずっとすぎぽつんと田んぼと山との間に位置する公園の中に農産物の直売所がある。農産物は7割ほどが地元の古賀市産、じゃがいも、にんじん、キャベツ等のベーシックなものからアスパラガスとかどこで作ってんだ?というものも入っている。残りの3割ほどが福岡市産やついでに市場からの商品が入っている、という感じだろうか。鶏卵、肉類等も若干だがあり品揃えとしてはかなり豊富なほうではと。ただ、古賀市には漁港がないので海産物が少ないのが残念。


で、開店の9時直後にはすでにこういう状況で、なんだかやたらと混んでいる。利用者の殆どが車で来ていると思われるんだが、見ていると10分程度で大量の野菜を買い込んでぱっと帰っていく目的買いが大半の様子。確かに野菜は安くてよく育っている。それで地場産だから確かに人気は高いはずだな、と思わせるものはあるんだけれども、それにしてもお客さんが途切れることはない。


「安全な食」への関心の高まりを背景に、地元の朝採り野菜や魚介類、ブランド肉などを扱って人気を集める「直売所」に変化が起きている。福岡県内では近年、大型スーパー並みの売り場面積と駐車場を備えた直売所が相次いでオープンする一方、先発組である中小規模の直売所は淘汰(とうた)の波に洗われている。識者からは「地産地消の持ち味や地域それぞれの特色が失われないか」と懸念する声も出始めた。
 福岡市に隣接する福岡県前原市の国道バイパス沿いに、昨春に開店したJA糸島産直市場「伊都菜彩(いとさいさい)」。400台分の駐車場を備え、売り場面積約1300平方メートルは農水省調べによる全国平均の7倍もある。10日に来店した福岡市城南区の男性(73)は「野菜の形はふぞろいでも安くて新鮮。月数回は車でまとめ買いにくる」と話した。
 同時期にオープンした同県宗像市の「道の駅むなかた」(約1.4ヘクタール)の直売所は、当初見込みの3倍を超す1日平均6400人が来店。急きょ市は渋滞する国道の拡幅工事をし、第2駐車場も確保した。
 福岡県内では昨年以降、朝倉市筑前町にも大型直売所が開業。久留米市宮若市でも年間数億円の売り上げを狙う直売所の開業計画がある。
 同県によると、県内全域の直売所の推定売上高は、2000年の計68億円から07年は計200億円に急増。一方で、直売所数は04年3月末の259カ所をピークに減少に転じ、07年3月末には230カ所まで減った。
 九州の直売所事情を調べた福岡市の民間調査機関「よかネット」の原啓介研究員によると、同市近郊や佐賀、熊本両県北部など福岡都市圏住民の日帰り圏内が直売所の激戦地。中には大型スーパー並みの品ぞろえを確保するため、地元にない品を域外から調達する直売所もあるという。
 原さんは「中小規模の直売所は苦戦しており、生産者が高齢化した地域では品数が確保できず、閉鎖する直売所も目立つ」と指摘。農産物直売所を研究し、九州大大学院で博士号を取得した樋口泰範さん(前福岡県うきは市教育長)は「行き過ぎた大型化や商業化の路線は、直売所の本来の特色を失いかねない」と警鐘を鳴らす。
そういう意味ではここは目立たないながら「勝ち組」にはいるのだろう。伊都菜彩も偶然4月に通ったのだが、田舎の一本道をつぎつぎと車が吸い込まれるように向かっていく光景は圧巻で、郊外のショッピングモールに人が吸い込まれていく光景と重なってくる。こういう目的をもった買い物で日常の買い物を済ませてしまう、これが中心市街地で出来たらいいのに、と思う訳で。既存の商店を入れ替えてでもこういう核が必要なんではないだろうか、多分ここだけにぎわう光景というのは目に見えるけれども。