JRバス直方本線〜福丸まで〜

電車に乗って夕方の直方まで帰ってきました.ここから17時20分発のJRバスで福丸まで、そこから福間もしくは博多まで乗り継いでいこうと考えた次第です.別に直行便に乗ってもいいんですけれどもね.

駅の横の古びた直方バスターミナル、もちろんかつてあった窓口なんて今はあいているはずもなく、どこの高校か20人ばかり女子高校生がバスを待っていました.飯塚行きが出た後、ほどなく福丸行きがやってきました.17時代から本数が急に増え、高校生の通学が主な利用者になっているのはどこのバスでもいまやそうなのかもしれませんが、ここのJRバスはそれが顕著なようで、乗客は俺一人を除き全員そうでした.市街地をあっという間に抜け、坂を上り、鞍手高校で若干の乗車をみてぱらぱらと乗客を降ろしながら、10人ほどになったところで宮田町駅に到着.県道に面してりっぱなホームと「宮田町駅」と記された上屋がありますが、人気はまったくありません.

バスは古い集落がつらなる県道を法定速度でゆっくりと進みます.ところどころ小さなショッピングモールがあったり、全国チェーンのファストフードがあったりする日本の標準的な郊外といえばそうかもしれません.勝負尻、というどうも名前の由来が気になるバス停を過ぎるとやがてすこし大きな集落に入り、そこがバスの終点の福丸でした.ここまでの乗客は高校生ばかり10人ほど、思ったよりも乗っておりました.


福丸は、ロータリーの中心に円形の駅舎を持つ変わった駅です.待合室の窓口のシャッターはここでも完全に閉じたまま錆付き、もう何年もあいていないのが一目でわかります.窓口上の路線図だか運賃表だかは全て白い紙で覆われ、唯一「通学定期」の料金欄だけが生きていました.待合スペースではここでも10人ほどの女子高生がメールを打ったりバスを待っています.他にはご老人が一人二人、といった状況でしょうか.10分後、JRバスが撤退した支線、日吉行きの自治体バスにそのご老人は乗って去ってゆきました.後発で追いかけてきた福間行が到着、乗客のほとんどをここで降ろして、2名だけの福間行最終になって出てゆきました.次は1時間後の博多行、犬鳴峠を越える今日の最終、このバスで博多に向かうことにします.

一層日が西に傾き、影が長くなってきました.隣の学校のチャイムがなり、学生が三々五々帰ってゆきます.時間があるので集落の中をぶらっと回ってみましたが、昔商店が連なっていたであろう通りは人の姿がほとんどなく、シャッターともと商店だったと思しき住宅が連なるばかりでした.中にはつい数年前まで商売をやっていたであろう事がわかる店もあって、さびしくなってきます.

直方にしろここ福丸のある宮若市にしろ、それぞれトヨタなどの大型工場を有していて税収的にも恵まれているほうだと思います.立地もそんなにひどくないし、住みにくいか、と問われるとそうでもないほうに入るでしょう.しかし、どちらも「町の中心」はすでに役場があったり、その程度の意味しか持たないものになっているようでした.特に人を集める要素があるでもなく、ただ昔からの流れで住宅が密集してたり学校があったりする程度、といったものでしょうか.街のあり姿はすっかり変わってしまったのかもしれません.