千葉の風景


木造の駅舎では年配の駅員さんが一人、一時間に1本の普通電車を送り迎えするだけで、電車がいってしまうとまたしんとした駅前が戻ってきます.港から潮の香りが上ってきて、駅前には自転車に乗った地元の中学生が3人、なにやら集まっています.駅前には釣り餌屋、食堂、入り口は開け放してありますが人気はありません.
路地を通っていくと、古びたコンクリート作りの鋸山ロープウェイの山麓駅.

鋸山は房州石の切り出しで栄えた山なんですが、今は日本寺を擁する観光地になっているとか.山頂の展望台から内房線を一望できるので上ってみました.駅舎はコンクリ作り、改札口の横には小さなお菓子くらいを売っている売店があるだけ、コスモスのおもちゃの自販機がまだ現役だったりスーパーボール売ってたり、これまた昭和の香り、しかも50年代の香りがそのまま残ってるんですけど.これって大手グループ*1の中に目立たないまま取り残されているがゆえなんでしょうかねえ.自動販売機も無く、改札で乗車券を購入.



カチャン、ダッチングマシンの小気味よい音を立てて硬券乗車券が出てきました.地紋は「けいせいでんてつ」.見てると大人・小児・往復・団体とすべてそれぞれの硬券乗車券がそろっているようです.なんとまあ.
これまた昭和の香りの古びたコンクリホームから古びたゴンドラに乗り、うーん、いまどきガイド乗務なんですなあ.石切の跡を見ながら数分で山頂駅.なんかこっちもメダルゲームがあったり、すごいなあ.



やはり冬の早朝じゃないときれいには見えないようです.目を凝らすと普通電車ががたがたと走ってゆきました.ぼーっとしてると、眼下で東京湾フェリーの汽笛が聞こえます.国道をツーリングのバイクが走ってゆき、15分おきにロープウェイは上ってきます.静かだけれど漁船が行きかっていたり、活気はあります.
ここから保田の方に降りたいのですが、下山道は日本寺の境内を通るものしかないので、ロープウェイで下山します.相変わらず昭和の香りの山頂駅の待合室は、なぜか焼き団子を売る初老の駅員と、なぜかやたらと猫だらけ.のどかな風景です.

その後は保田のあたりで2時間程たんぼの中をぶらぶらしながら撮影.ふと後ろを見ると鋸山がすっかり雲に覆われていました.むっとする暑さ、もしかしたら雷雨がきそうな気配です.細い畑へと分け入る道、蝉の声が降ってくるよう.