宗像動物ふれあい広場

数日前偶然テレビのニュース番組の特集で見たのが、ペットブームの裏にある動物の殺処分。日本では年間40万匹を超える犬猫が殺処分されている、という。(犬16万頭、猫24万頭→出典:「捨てないで 迷子にしないで〜42万頭の叫び〜」:環境省自然環境局 総務課 動物愛護管理室
これまでもそういう本や報道なんかは見たことがあったし、知識としては膨大な数の殺処分が行われていること、しかもヨーロッパなどの各国に比較してもかなり大きな数であること、日本の一部では定点回収まで行われていること、そして殺処分は安楽死などではなく炭酸ガス二酸化炭素が主流)による窒息死であり、人の手を極力介さないきわめてシステマチックなやり方で行われていること、そして現在の法制度では行政はそれをしなくてはいけないこと、などというのは知っていた・・・と思う。しかし、犬を実際に自分が飼うようになると、やはり身近な問題として知っておきたいと。そして、福岡県における殺処分が行われているのは、俺の家のすぐ近く、市内の施設だ。やっぱりこう考えると、他人事・・・というわけにはいかないなあ、と思うのだ。
 そんなことを考えていると、ちょうど近くの福津市で、その施設の獣医師さんの講演をする、というのでいってきた。

いってみると結構な賑わいだ。しつけ教室、動物療法犬、ペットを飼う、という行為には正直あんまり昔は共感できなかったんだが、こうしてみるといろんな意味があるんだなあ、と考える。動物、というよりも当たり前なんだけども社会の一員、仲間、というところだろうか。
さて、市内で飼われている高齢動物とその飼い主さんの表彰があったあとに、いよいよ講演。

福岡県における犬猫の殺処分数は、犬が6,139頭、猫が12,597頭、合計18,736頭で全国最多。猫は捕獲しておらず、ほぼ100%が飼い主の持込によるもの。犬も大多数が飼い主の持込でよるもので、その場合は即日で殺処分、わずかな数の捕獲によるものも3〜5日の拘留を経てほとんどが殺処分となる。子犬については「人間社会に適応できそうか」などを判断した上で、譲渡会なども行われているが、その数は年間でわずか100頭余りに過ぎない、という。いったん飼われても再び捨てられることが起こらない様に一番気を使われている、ということ。事前に勉強会をしたり、ややもするとそこまでする必要なんてないんじゃないの?と思ってしまうのだが、現実としては少しづつでもそうやっていくしかないとのこと。
 センターの職員さんとして訴えることは、「飼えない人には飼わせない」「飼えないのならば増やさせない」「リードなどで適切な管理の必要性を理解させる」といったことに尽きるようで、当然といえば当然なんだがそれが出来ていないのがこの殺処分の現状になっているわけで、ただ心が痛むのだ。


(抑留)
第六条  予防員は、第四条に規定する登録を受けず、若しくは鑑札を着けず、又は第五条に規定する予防注射を受けず、若しくは注射済票を着けていない犬があると認めたときは、これを抑留しなければならない。

  第四章 都道府県等の措置等
(犬及びねこの引取り)
第三十五条  都道府県等(都道府県及び指定都市、地方自治法第二百五十二条の二十二第一項 の中核市(以下「中核市」という。)その他政令で定める市(特別区を含む。以下同じ。)をいう。以下同じ。)は、犬又はねこの引取りをその所有者から求められたときは、これを引き取らなければならない。この場合において、都道府県知事等(都道府県等の長をいう。以下同じ。)は、その犬又はねこを引き取るべき場所を指定することができる。

第4 処分
保管動物の処分は、所有者への返還、飼養を希望する者又は動物を教育、試験研究用若しくは生物学的製剤の製造の用その他の科学的利用に供する者への譲渡し及び殺処分とする


第一章 総則
(基本原則)
第二条  動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない
そして

 第三章 動物の適正な取扱い
 第一節 総則
(動物の所有者又は占有者の責務等)
第七条  動物の所有者又は占有者は、命あるものである動物の所有者又は占有者としての責任を十分に自覚して、その動物をその種類、習性等に応じて適正に飼養し、又は保管することにより、動物の健康及び安全を保持するように努めるとともに、動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない。

法律で定められているのだが、行政としては啓蒙が追いつかず、殺処分という処理だけに手をとられるというのも住民としては不幸な現状だ。予算なんて圧倒的に足りないのでなにも出来ない、というのもあるんだろうが、犬猫の登録数が15歳以下の学童の数を上回る、という高齢化社会の上でのペットブームにどう対応していくのか、やり方を変えていく必要はきっとあるのだろう。
 「殺処分されていく犬や猫たちはほとんどが飼い主により持ち込まれたもの。飼い主さんはきっと動物が好きだったから動物を飼ったはず。動物が好きな人たちが動物を殺している、これが現実」
この言葉がとても重かった。もちろんそれをビジネスとして営む人たち、ブームを作り上げるマスコミやなにか、いろんな力がそこには働いているんだろうけれども、この現実はちょっとどうにかしないと、とも思うのだ。