井筒屋久留米店

そういえば今週はこんなニュースが。

福岡県第三の都市といえば久留米、久留米の百貨店といえば駅前の岩田屋と六ツ門の井筒屋。そんな井筒屋が閉店する、というニュースだ。


久留米店は前身のデパート旭屋から数えまして、72 年間にわたり地域の皆様方のご愛顧を頂きながら今日まで営業してまいりました。
しかしながら、久留米店を取り巻く競合環境の変化により、業績が低迷してまいりました。今後営業の抜本的な対策を講ずる必要性がある一方、店舗建物の維持・管理コストがさらに増加することも見込まれることから、現店舗での営業を続けることは困難との判断の下、来年2 月末を目処に久留米店を閉店することを決議いたしました。
久留米店の立地いたします久留米市六ツ門地域が、平成20 年3 月12 日付けで認定されました「久留米市中心市街地活性化基本計画」に認定された地域であり、『買い物を楽しむ場』『ふれあいや交流の場』そして『賑わいの場』の創出が、地域の活性化に重要であると認識しております。従って、今後の久留米店のあり方につきましては地元関係機関とも十分協議のうえ、六ツ門地域の賑わいの維持・発展に貢献できるよう協力をして参る所存であります。
なお、株式会社久留米井筒屋の運営いたします大牟田および筑後の各ショップは、今後も営業を継続してまいります。
リリースによれば、今後については含みを持たせた言い方になっていて、今後に関してもたとえば新しい何かを作るとか博多井筒屋みたいにどっかに縮小移転して続けるとか考えられなくはないんだが(従業員については転属ということだから、単純に残るわけではないんだろうけれども)、新聞各紙なんかを見ると完全撤退?なのかなあ?と思わざるを得ない。

井筒屋が久留米店の閉店を決めたのは、改装などのてこ入れを行っても、業績好転が難しいと判断したためだ。景気減速で、特に地方都市では消費低迷の出口が見えない状況が続いている。地元に根付いた老舗店を閉める決断は、百貨店が経営資源の一層の集中と選択を迫られる厳しい経営環境を浮き彫りにしている。
 久留米井筒屋の2008年2月期(単体)は、売上高が72億7800万円、経常利益は6200万円の赤字。この結果、債務超過は63億円に膨らんだ。売上高は5期連続の減少、赤字転落は4期ぶりだ。久留米店の売り上げは、ピークだった1982年2月期のほぼ4割にとどまっている。
 長期低迷をもたらしたのは、人口減少に加え、郊外型の大型商業施設や、百貨店が集積する福岡市への顧客流出だ。店舗の老朽化も客足を遠のかせ、「顧客の支持のバロメーター」(中村真人会長)である売り上げが減り続けた。
 グループ店の経営継続の指針に経常黒字を掲げていたため、08年2月期に赤字転落した時点で久留米店の閉店の道筋が固まったと見られる。
グループの厳しい台所事情も閉店を後押しした。井筒屋は、赤字が続く小倉伊勢丹の経営を4月に伊勢丹から引き継ぎ、「コレット井筒屋」としてオープン。10月には、山口市の「ちまきや」も継承し山口井筒屋を開業する。
 グループが拡大する反面、収益体質強化の歩みは加速していない。小倉本店とコレットの相乗効果が薄く、7月には中間期の業績予想を修正し、大幅な減収と最終赤字を発表した。
 「コレット」は今年秋以降に約10億円を投じて改装する計画。旗艦店の小倉本店や黒崎店のてこ入れも引き続き必要で、設備投資の面からも、もはや「赤字を垂れ流す」(中村会長)店舗に資金を回す余裕は残されていなかった。
確かに今の井筒屋ってどこが旗艦店舗でどこが稼ぎ頭なのかどうもわかんないなあ。小倉・・・なのかな、いまでも?

久留米市六ツ門町の老舗百貨店「久留米井筒屋」閉店のニュースが12日、商都・久留米の街を駆けめぐった。「撤退ではない。新たな展開を模索する」と井筒屋は強調するが、その具体策は示されず、地元には不安や驚きの声が相次いだ。創業から72年、市中心部の核店舗として愛されてきた同店。郊外店の進出などで客足は遠のき、商店街の疲弊も進んでいる。中心地の商店街の活性化やまちづくりへの影響が心配される。【井上秀人、平野美紀、丸山宗一郎】
■複合商業施設も
 同市城南町の久留米商工会館で会見した中村眞人・井筒屋会長は閉店理由を「業績の低迷に加え、店舗建物の維持・管理コストのさらなる増加が見込まれるため」と説明した。創業から72年が経過したビルは焦土と化した久留米空襲でも残ったが、「リニューアル程度ではすまないほど」(中村会長)老朽化が著しくなっているという。
 その上で閉店後の跡地利用について、中村会長は「今後検討する」と明言を避けつつも「大型駐車場を備えた複合商業施設が望ましい」とし、六ツ門地区の振興に貢献したい意向を語った。それでも、実現の可能性は「地元の機運の盛り上がりが必要」と語り、ハードルが高いことを示した。
 また、久留米店の従業員約130人は、グループ内で雇用を継続するという。
 ■バックアップを
 市の中心部・六ツ門地区では05年11月にダイエー六ツ門店が撤退し、跡地ビルの買い手はいまだ決まらないままだ。今年7月現在の中心部10商店街の空き店舗率は26%と増えている。
 打開策の一つとして、市は今年3月、中心市街地の空洞化の解消を国が支援する「久留米市中心市街地活性化基本計画」の認定を受けた。中心部への集客や居住率アップを狙ったさまざまな事業が、本格化する段階だった。江藤守国市長は会見で「いつかこういう時期が来ると想定していた。ショックは受けていない」と語った。井筒屋が六ツ門地区の核施設であることを強調し「閉店は六ツ門地区の再生へ向けた一つのステップと位置づけている。新しい拠点作りのため、行政も地元経済界もバックアップする」と力を込めた。
 一方、久留米商工会議所の本村康人会頭は「活性化への新たな切り口と認識し、市や商店街と連携しながら対応したい」とコメントを発表した。
 ■店の継続を
 井筒屋前の六ツ門商店街振興組合の黒川幸治理事長(60)は「ぜひ続けてほしい」と訴える。「井筒屋がなくなることは考えられない。なくなれば町は大きく変わってしまう。地元としては新たに活性化が進むよう協力し、頑張っていきたい」と話した。洋傘店経営の黒岩和則さん(66)は「ダイエーが撤退し、シャッターの閉まった店が増え、うちは売り上げが3割減った。井筒屋の集客力がなくなれば、さらに半減するかもしれない」と不安を募らせる。
 買い物客も寂しげな表情を浮かべた。近くで働く同市の保険外交員、荒巻アサエさん(77)は「仕事帰りによく立ち寄り、夕飯の食材を買っている。残してもらわないと不便になる」。小郡市三沢のパート、田中陽子さん(34)は「15年前は商店街には人があふれ活気があった。ダイエーに続き井筒屋も閉店すると、久留米のイメージが変わってしまう。寂しい」と残念がった。
長いが、毎日は流れるのが早いので転載メモ。

久留米については6/4に書いたとおり(id:50:20080604)で、昔の、といっても俺が高校生のころまで天神に張り合うくらいの(あくまで高校生レベルだけれども)繁華街だった西鉄久留米駅〜一番街〜ここ六ツ門までの一帯は、見る影もないほど閑散としている。そんななかぽつんと残るのがこの井筒屋百貨店で、店舗形態を変えつつもどうしていいのかわからない、そういう状況じゃなかったのかなあ、と思うのだ。

久留米市中心市街地活性化基本計画を作成し、国の認定をうけているのだが、その中にも厳しい状況が切々と書かれていて(´・ω・`)


最近20 年間では、全体的に減少の一途をたどっている。中心商店街の歩行者通行量調
査主要5地点の合計を見ると、平成5 年の9 万人から平成19 年の2 万人となり、約1/4 以
下に減少している。
ちなみに、中心市街地活性化基本計画の全文はここ(久留米市ウェブサイト).たしかに、六ツ門を含む中心市街地の商業活性化が入っている。かといって、民間の動きは明らかに官のスピードと違う訳だし強制もできないし、ましてや官で商業施設を作るわけにもいかないし・・・といったところだろうか。どこまでダイナミックな事業であったりフレームの転換ができるのか、そういうことになるんじゃないかなあ、と思うのだ。
井筒屋としては久留米市の郊外SCに入る話があれば喜んで入るんじゃないかなあ、とおもいつつ、一事業者に依存した形の計画ってやっぱり苦しいよなあ、とも思うのだ。

ちょっと古い話で、これもうまくいったりいかなかったりだったと思うんだが、ちょっと思い出した。