船の旅って

さて今回乗船したのは前述の通り、オーシャン東九フェリーの「おーしゃんのーす」.関東と九州とを結ぶフェリーはかつてシャトルハイウェイライン、マリンエキスプレス、九州急行など複数路線が就航していたが、路線撤退やRORO船化などでいまはこのオーシャン東九フェリーと、志布志によって沖縄を目指すマルエーフェリーのみになってしまった。東京から北九州まで33時間、料金は最低の2等で14,000円と高速バスや飛行機(スカイマーク)なみとすれば、やはり一般の移動手段としてなかなか難しいのではないかとはすぐ考え付くところだ。ただ実際にはかなり徳島でも北九州でも徒歩で上下船している人が結構(20人くらいか)いたので、いろいろな使われ方をしているのは確かな様子。中で子供でも十分走れそうだとか、徳島までは乗換えがなく夜行として使えるとかいろんなニーズは一応あるんだろう。ただ、本来の目的はやはり「物流」とてのフェリーであるようで、ちゃんと多客時なんだけど物流の少ないGWにドック入りで減便されていたりもするので注意が必要だけれども。

さて、この「おーしゃんのーす」はカジュアルフェリー、という位置づけになっていて、2等寝台モノクラス制の採用、船内レストランの廃止、売店も時間限定とかなり省力化を進めた構成になっている。エントランスを入るとロビーのような空間があってテレビが置かれ、そこに10台ほどの自動販売機が置かれて食事ができるようになっている。昔はプリペイドカードが配布されそれである程度食事を購入することができたそうだが、今はその制度は廃止されており普通にコインを投入して買うことになる。ビール、ジュースといった飲み物、パンなどはむしろ少数でampmの電子レンジ加熱レトルト食品の自販機が何台か置かれている。味気ないようだが値段はむしろ陸地で買うより低く設定されており、現実的にはむしろサービスアップといったところだろう。


そういえば、冷凍すしの自販機という妙なものがおいてある。昔からあったらしいのだが、なんと故障中だった。残念。

船内も昔のフェリーとは比べ物にならないくらいきれいだ。もちろん風呂は清水だし、洗面所や廊下の床もリノリウムむき出しということはない。もう昔のような油くさく冷たい工場のようなフェリーというのは昔話になってしまったんだろうか。ディーゼルエンジンの振動音だけは昔と一緒だけれども、快適な一日を過ごすことができる。船内は明るく、衛星放送のテレビはいつでもつながっている。でも微妙に世の中から隔たった感じ、この感じがいいのかもしれない。