茨城交通湊線


赤字に苦しむ茨城県茨城交通湊線(勝田―阿字ケ浦、14.3キロ)の存廃問題で、茨城交通(資本金3億円)と地元のひたちなか市、県の3者が27日会談し、路線の存続を決めた。同社が鉄道部門を切り離し、来年4月に新設する第三セクターに事業を移す。新会社の資本金は未定だが、市は市民から寄付などを募った上で、同社とほぼ対等に出資する。公費負担が軽いとの見通しから存続を決めた。ただ、黒字転換のめどは立っていない。
 湊線は最盛期の約40年前に年間350万人の利用を記録した。しかし、06年度は70万人にまで減った。足元では4〜8月の利用者が30万3000人で前年同期比0.2%増となり、歯止めの兆しもあるが、財務状況は年数百万〜数千万円の営業赤字が続く。茨城交通は08年度から5年間の赤字を約5億円と見通す。
 赤字縮小のため、茨城交通は毎年約4000万円の収入のある光ファイバー事業を新会社に譲渡する。また、現在は単線の勝田―那珂湊駅間に行き違い設備を設け、40分間隔の運行ダイヤを短縮。朝夕の混雑時などにJR常磐線への乗り換えが自由になり、利用者増が期待できるという。
茨城交通湊線は、JR常磐線と接続している勝田から、海のレジャーと漁港で有名な那珂湊を経て同じく阿字ヶ浦に至る15キロ足らずの小さな鉄道だ。普通地方の鉄道というとJRに接続する駅が一番乗降客数が多く、沿線の中核となるような街がひとつくらい路線の中ほどか終点あたりにあるがさてこの街も核があるようなないような、というのが多いがこの湊線は沿線に那珂湊、阿字ヶ浦というそこそこ大きな町があり、実際に乗降客が一番多いのも途中の那珂湊駅という変わったパターンだ。

しかし、経営状態はよろしくない。同じく茨城県でいうと、ちょっと前にさかのぼれば関東鉄道筑波線、この2年程の間にも日立電鉄鹿島鉄道と続けざまに路線が廃止されている。地方鉄道が、というよりも地方公共交通そのものが危機に瀕しており、この茨城交通も会社そのものが整理回収機構と銀行団の管理下にあるのが実情。ほかのブログではこんなコメントも。


私は茨城交通本社の社員です。現在当社は200億円の累積債務を抱え、その200億(正確には198億)のうち88億を債権放棄という形で棒引きにしていただきました。それでも経営状態は好転の兆しすら見えない状況です。昨年度の決算は21億の赤字決算でした。今年度も同等の赤字決算を迎えようとしています。またバスを走らせたくても乗務員が昨年大量に退職(逃散のような形で他社に転職、網茨城交通には見込みがないということでしょう。)昨年だけで実に124名のバスドライバーが退社してしまいました。この124名という数字は全運転士300名の半数近い数です。新規採用しようにも待遇の悪さと労基署から是正勧告を出されるほどの労基法違反の激務が茨城交通は有名で、金は安いし仕事はきつい、有休も会社から取得制限されて取れないほどの劣悪な労働条件で誰も応募しません。
 観光旅行も営業マンの大量退職で(給料が減額続きで安くて生活できない)顧客まで持っていかれる始末。今年度は本体事業の黒字化が最低目標でしたが夢のまた夢に終わることは確実です。多分当社は6月の株主総会を待たずして倒産することは間違いありません。
地方に大きな役割を果たしている公共性の強い企業だとはいえ、交通以外の有力な分野を持たないとただ環境の悪化に押し流されていくまま、ということにすぎないのが実情。上の「茨交命がけ」さんのコメントは、決算数値等以外の正否は不明だが、条件がよくないであろうことは想像に難くない。その結果、鉄道部門を第三セクターの形で切り出すことになったようだ。

さて、そんな茨城交通、沿線はただのどかな田園風景から下町のような漁師町へむかって家々を縫って走る、そんな路線だ。