天神南駅にて

福岡に帰ってきて毎日福岡市交通局七隈線に乗っているわけですが、空いていますね.リニア駆動の16.5m車4両編成、総定員378名は大阪市交通局長堀鶴見線と同じ程度、東京都営地下鉄大江戸線の半分程度ですから非常に小さく見えます.日中6〜8分毎で運行というのは便利ですし、この地下鉄ができてからバスより圧倒的に移動時間が早くなったのですが、採算的にはどうみてもとれてないだろうなあと思うわけで.開業前は地下鉄事業は黒字だったのに、開業後は一気に赤転してしまった状況は(もちろん減価償却費の部分もあるんですが、営業キャッシュフローとしても赤)どうなんでしょうねえ.
 ただ、この地下鉄が要らないのか?というと、福岡の交通問題をどう考えていくかというきっかけになると思うんですよね.福岡はこれまで公共交通を民間のバス事業者、西鉄バスがほぼ独占し、しかも異常ともいえる密度で運行をしてきている都市、というのは疑いのないところだと思うんです.まず市内でバスの走っていない地域なんてほとんどないし、いや県内だってねえ.そんななかで出てきた地下鉄ですが、現状そんなバス交通と相変わらずうまくリンクしているとは言いがたく、客の奪い合いをやっているなあというのが正直な感想でした.まあ開業当初から言われていたことで、地下鉄ができても逆に併走するバス路線を増強したりしてますもんね.
 また、この10年で町全体が車交通の街にシフトしているような気もします.都市高速道路とか外環道とか、いや便利なんですよこれが.駐車場料金も都心であってもそんなに高くないし、空きを見つけるのもそんなに難しくなかったです.福岡の町の中心部なんて本当に久しぶりに車で走りましたけど、何人かで同乗するんなら車のほうがコストパフォーマンスいいよなあ、という気もします.そして市街地の中小店舗が減少し、郊外の大型店舗に流れていくという状況は日本のどの街でも見られていますが、ここでも明らかなわけで.

 そんななかで、市の郊外にのびる数少ない鉄道路線を大きな枝に使えばもっとできるんじゃないかなあ、とも思うわけですけれどもね.
赤字解消、というか利用客増加のために様々な施策を打ち出しています.1日に使った「ノーマイカーデー一日乗車券」しかり、隣駅までの運賃の一律100円への値下げ切符の発売、地下鉄全線定期券の発売、地下鉄駅駐輪場との組み合わせ定期券など(各詳細はこちら:福岡市営地下鉄公式).なんとか利用者が増えて欲しい、公共交通を維持していってほしいと望むわけです.


小さな施策ではこんなところ.七隈線の起点、天神南駅で見つけた「乗換用貸出カート」.まるでコミケでみるようなこのカートに荷物をくくりつけてオサレな天神地下街を歩いていくのはどうかなあとも思うのですが(しかも床は石畳を模した凸凹のあるタイル貼りですし)、乗換が不便という声に対しての地道な施策で結構好きです.でも乗換の500mって、東京だと階段の上り下りをつけてよくあると思うんだけれどもなあ.