いまさらですが

sa-502006-06-16

・・・本当にいまさらですが、友人のオカンが読んでいたのを借りて読んだ次第で.

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

最近会社が引越して小名木川の近くに移転したのですが、ビルとビルの向こう、はるかかなたに東京タワーの頭だけが見えています.引越す前は東京タワーのすぐ近くで、東京タワーからも望遠鏡で覗けば社内が見えるの見えないの、というのを聞いたことがありましたが、ずっと遠くになりました.しかし、引越してくるとまずみんな東京タワーが見えるかどうかを気にするんですよね.たしかに方向感覚を得るのにベストなのかもしれないですが、それを超える何かがあるんだろうなあ、と思うわけです.やっぱり東京って一般論になるけれど、いろんな要因でなんとなく巨大な街が出来上がっているんかなあ、とか考えるわけです.
 東京タワー、「港区芝公園4-2-8」つう住所なんですね.地味な住所だなあ.東京の真ん中にぽつんと浮かんだ象徴、だからみんな勝手にいろんなものを投影するんじゃないかなあ、と思います.新東京タワー「墨田タワー」だとこうはならないんだろうなあ.


さて本書ですが、よく言えば朴訥で悪く言えば抑揚の無い文章が淡々と進んで、どこがヤマ場なのか最後までわからなかったのですが、福岡で、東京で、とか親元を離れて、とか読みすすめていると自分に重ねている自分がやっぱりいる訳で.いやあ、田舎に帰ろうかなあとか思わなくも無い自分がいる訳です.淡々と、しかしぐわっとなんかつかまれたような不思議な本でした.泣ける、たしかに泣けるかもしれない.でもこれって、自伝なんですよねえ.まるで遠い昔のような、そうでもないような.若いころ東京に出てきて結婚したというその友人のオカンはどういう想いでこの本を読んでいたのかなあ、とふと考えました.