手動着床になるとちょっと。

個人的には、エレベータといえばOTISの自動着床手動エレベーターがいいなあ、とか思っている訳です.上野松坂屋にあるんですけど、昔ながらの真鍮の大きなレバー操作で上下とドアの開閉をするタイプです.一本のハンドルで扉の開閉と上下、通過と停止をさせる動きってすごいなあ.うん.

ソレはともかく、エレベータの死亡事故とその後の会社の対応が注目を集めています.テレビを見ていたら、実家のすぐ近くの某郵便局とか、福岡市地下鉄七隈線とかが出てきて驚きました.


 東京都港区のマンションで男子高校生が「シンドラーエレベータ」(東京都江東区)社製のエレベーターに挟まれ死亡した事故に関連し、福岡市営地下鉄七隈線の梅林駅(福岡市城南区)で昨年12月、4人が約40分間閉じ込められる故障があったエレベーターも同社製だったことが7日、同市の調べで分かった。
 同市交通局によると、昨年12月22日午後6時40分ごろ、10代から40代までの男女4人が同駅の地下コンコースから地上に出るため、エレベーターに乗り込んだところ、扉が閉まった直後にエレベーターが動かなくなったという。同市消防局のレスキュー隊が扉を開けて救出し、4人にけがはなかった。
 その後の調べで、エレベーターの内側と外側のドアの間にある部品に不具合があったため内側のドアが閉まらず、安全装置が働いたことが原因と判明。市は保守管理も任せている同社に点検を徹底するよう指導した。
この場合はインターロックが働いたため大事故には至らなかったということですがね.今回死亡事故に至ったケースでは、そのインターロックも働かなかったということか.
そういえば、2ちゃんにこんなんあったなあ.(現在dat落ち

248 :秒 :2006/06/04(日) 18:12:44 id:Iuv3qwxp
今、連絡きました。
ブレーキ回路のコンタクターの接点溶着だそうです。
で、ブレーキの故障か閉め忘れかで、はさまれた男の子を引っ張り出して無人になったエレベータは、そのまま釣合重りの重さで上昇して最上部にぶつかって止まった、ということでしょうかね.複数の原因があったんだろうなあ、という気はします.製造メーカーと独立系の整備会社、十分整備会社に情報が公開されているとは技術面の秘密保持の問題もあって、またこれだけの種類のエレベータがあることから考えても、独立系の整備会社にどれくらいの対応力があるのか疑問な気もしますが、公開入札で安い札を入れられると仕方がないもんなあ.公共施設としては入れざるを得なかったということでしょうか.
なんだかここんとこのマスコミの報道だと、シンドラー社のエレベータが欠陥商品で、新興メーカーの製品はいい加減だ、とかいうことのようになっているようですが、一応1874年創業の老舗で、「エスカレーターでは世界最大、エレベータでは世界第二位のシェア」(同社サイトより)なんだそうな.日本国内へは、国内独立系メーカーの老舗「日本エレベータ工業株式会社」を1985年に買収して進出しています.ただ、だからといって世界的に同じような基準で作成しているわけではないでしょうし、大手総合家電メーカー4社にがっちりシェアを押さえられている国内では、価格で勝負するほかなく、外資ならではの厳しい収益基準を満たすためにはなにかでコストカットしており、そこが報告されているような事故の多発につながっているんじゃないかなあ、というのは想像に難くないのですが.
シンドラーエレベータは、「メンテ会社が悪いんだ」という姿勢を貫くようですが.

The tragic accident happened in a Tokyo government housing development equipped with six Schindler elevators installed in 1998. For more than a year the elevators are no longer serviced by Schindler, but by two different local third party maintenance companies.
Schindler has no design related user fatalities on record. Fatal accidents in the elevator industry are mainly due to inappropriate maintenance or dangerous user behavior in the context of entrapment. The elevator involved in the accident is a state-of-art product fully certified by various international Authorities and in use in many markets around the world.
Schindler is moving safely over 700 million people per day or the equivalent of the Japanese population every 4 hours. The risk of having a fatal accident with an elevator is lower than with any other means of transportation. Safety is Schindler's most important value.
原因をどこに求めるかはともかくとして、ちょっと対応があれだなあ。こんなところに任せられない、と思われることを意識してないのかなあ、不思議です.

ちなみに、シェアというのはなかなか数字が出てこないのですが、一応参考でこんなものが.


――最後に国内、および世界のシェアは。
「国内では三菱電機35%、日立製作所25%、東芝エレベーター20%、フジテック10%、日本オーチス・エレベータ10%となるほか、日本全体を1とした場合、オーチス1・5、シンドラー0・8〜0・9、コネ社0・5、またティッセルなどの順です。さらに世界全シェアに占める国内メーカーは30%ぐらいと把握しています」
国内総合家電メーカーの製品で、系列のメンテ会社のフルメンテというのが一番安心なパターンだと思いますが、おそらくランニングコストも考えると価格は倍も違ってくるでしょう.ただ、それに応じて得られる何かというのは厳然としてあるわけで、経済合理性を追求すべきはどこまでなのか、という社会的な合意が必要な時期にきているんじゃないかなあという気がします.もちろんこの動きは新規参入者の大部分を阻むのでしょうから、そういう弊害は大きいのですが.単にシンドラー社をたたいてもなあ、という気がするんですよね.
ちなみに仕事で入札関係も見たりするんですが、ヒュー●ーもエスイーシーもシンドラーエレベータも・・・.新興勢力にはまあいろんな事情がおありのところも多いなあ、ということですね.

参考:エレベーター進化中 競争激化、中国も視野:asahi.com(2005年12月)