部外者なんですけど

たびたび登場していますが、別に福岡の町に住んでいるわけでもありませんし、帰ったら帰ったで違った感想をきっと持つのでしょうが、街の姿、どんな街の姿がいいのかなあとかふと考えて見るわけですよ.そう思うと、どうもつまらない建物に思えて仕方がないんですよね.


アスクプランニングセンター(東京都)は2月10日、中洲の福岡玉屋の跡地に建設している商業施設で同社がプロジェクトマネジメントを手掛ける「gate's(ゲイツ)」のテナントを発表した。同施設は地下1階地上11階建で、延床面積=39,753平方メートル。駐車場=131台を収容することができる。ビルの中央のガレリア空間には、イタリアで活躍する美術家マツヤマシュウヘイの作品や噴水が設置され、「待ち合わせはゲイツの噴水前で」と利用されることを期待しているという。テナントは、80店舗が出店を予定しており、九州初出店は13店舗、そのうち8店舗が新業態であるほか、福岡初出店が1店舗、日本初出店が1店舗となる。以下は主要テナント。
○地下1階(スーパーマーケット、日用雑貨のゾーン)=24時間型スーパー「ファンズ24」やドラックストア「ワンズbyセガミメディックス」、九州名産店「玉屋食品」など計4店舗。
○1階〜4階(物販ゾーン)=1階〜3階はアパレル、婦人鞄、靴、アクセサリー、インテリアなどの専門店が計45テナント出店し、4階はブランドセレクトショップが出店。
○5階〜7階(エンターテインメントゾーン)=5階はアミューズメント&エンタテインメントの2店舗が出店し、6階は新感覚個室&カラオケの1店舗が、7階はすし処「しゃり番」、キューバレストラン「ハスタキューバ」など10店舗が出店。
○8階〜10階(ヘルス&ビューティーゾーン)=8階は整体サロン「カラダファクトリー」、「ホットヨガスタジオ・オー」など11店舗が、9階・10階はフィットネスクラブ「エクスプレス」が出店。
○11階(グルメゾーン)=ウエディングレストラン「(仮称)ラヴィアンローズ」や中華料理レストラン「聘珍樓」、割鮮烹「たん熊北店グループ店 子栗 博多店」など5店舗が出店。
想定来客数は年間約700万人で、年商約100億円を目指す。
商人の町博多の中心街がここ中洲、数年前まではここには福岡玉屋が立っていました.福岡でバラの包装紙といえばもちろん玉屋、岩田屋よりも大丸よりもありがたがっていた祖母を今でもふと思い出します.建物も1933年建築、鉄筋コンクリート*1
レンガタイルを貼り付けた5階建ての建物は簡素ながらも重厚で、街の姿を語るにふさわしい姿だったような気がします.閉店の日、ちょっと覗いて見ましたが店内は町の人で一杯でした.駐車場もろくにない時代に取り残されたような百貨店でしたが、店の前には自転車がずらりと並んでいたのが印象的な光景でした.
閉店したのは1999年7月、長年街のランドマークとして親しまれてきたからでしょうか、博多山笠で中洲流が追善山*2をしたというのも今となっては懐かしい思い出です.
時は流れ、長い間建物が放置されていたのですが、ようやく再開発ビルが完成しようとしています.以上で引用したとおり年商目標は100億円、九州一円はおろか中国韓国までターゲットにしているであろう大きな建物になりそうです.
しかし、ぱっとみてどうもあんまり魅力的には思えないんですよね.もちろん一店一店が、ではありません.店単体で見ると福岡の老舗あり、福岡初進出ありで魅力的な店がそろっています.やはり地方に住んでいると東京の名店が来るとうれしいもの、それが一箇所に固まっているんですから、一度はいってみたいところではあります.
ちなみにこの建物のほぼ真向かいにあるのが旧スーパーブランドシティを擁する博多リバレイン.高級ブランドショップをあつめたものの見事にうまくいかなかった再開発ビルです(ホテルや美術館としては使えるのですが).比較するとこのgate'sはぐっと垣根を下げて、いろいろな客層に広く対応しようとしている姿を見ることが出来そうです.

しかし、周りの町が眠りについている時刻にこの巨大なビルだけが栄えているとしたら、その光景はどうしたもんでしょうか.もちろん営業努力といってしまえばそれまでですし、そもそもそんな時刻にお客さんはくるのか?という気もします.九州一の都会とはいえ夜になると人通りなんてありませんからね.ただ、こうして東京の会社の手により綿密なマーケティングによって店舗割付がなされ、全国から有名店が入れられる、そしてそれを運営しているのはイスラエル投資ファンドというこの姿、はたしてどこまで正しく、そして現実味のある光景なんでしょうか.何十年後、この建物が閉鎖されるとき、追善山は行われるんでしょうか.

*1:竹筋だったとも

*2:生前、山笠に功労のあった故人を供養する行事