吉村順三建築展

昨日の話ですが、行ってきました.吉村順三氏(−1997)といえば戦後を代表する建築家、特に一般の住宅を中心に活躍され、機能的でかつ風土にあった住宅を多数作られた方です.皇居の新宮殿基本設計にも関われたんですね.
有名なフレーズですが、


建築家として、もっともうれしいときは、建築ができ、そこへ人が入って、そこでいい生活がおこなわれているのを見ることである。日暮れどき、一軒の家の前を通ったとき、家の中に明るい灯がついて、一家の楽しそうな生活が感じられるとしたら、それが建築家にとっては、もっともうれしいときなのではあるまいか
いやあ、ええ言葉ですなあ.

余り会場は広くないのですが、図面と模型で立体的に見れるってやっぱり面白いもんですね.
吉村先生の住宅は、奇をてらったことなく必要にして十分、日本的な機能美が好きなんですが.
戦後の焼け跡に立てられていた6畳二間の自邸が、時間経過、生活環境の変化と共につぎつぎと増改築を経ていく様子、その中で常に統一性を保ち続けている様子は感動的ですらあるわけです.うーん、これが一番よかったですね.
主張するのではなく、機能のために従属する住宅、いやあええなあ.
土曜の閉館間近だったんですが、人が一杯でした.

もう一つ.


「良い住宅」というのは形そのものより、
むしろその家自体に「たまり」という重心のある
居住空間のある家のことだと思う。

これって住宅だけじゃないなあ、町とかでもそうだよなあとか思うんですよね.町も社会も刻々と姿を変えていくんですけど、そこにしかない「場」みたいなもんがあるはずだと思っています.