九州産業交通、HIS傘下へ


九州産業交通熊本市)のスポンサー(支援)企業にエイチ・アイ・エス(HIS)グループが二十五日、正式に決まった。HISの沢田秀雄会長は、九州産交の経営について、グループの営業拠点網を活用しながら国内外から新たな旅行客を呼び込み、観光事業を軸にした成長戦略を進める方針を示した。同会長は九州産交の支援を決めた背景にHISの事業戦略があることを説明。HISが弱いとされる国内旅行部門と、国内への海外客の呼び込みの強化が課題になっていることを話した。
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 一方、路線バス事業については「少しでも黒字化を図る。他社との重複運行で利用率が低い路線の見直しが必要。赤字を理由にすぐに廃止はできない」と路線維持に努める姿勢を強調。半年から一年かけてバス利用者や行政の意見を聞きながら事業計画をまとめる。熊本交通センター一帯のランドマーク事業(不動産事業)については地元を含めた他企業と共同で利活用を検討する考え。
熊本を地盤とする大手路線バス会社、九州産交のスポンサーがHISになったというニュースが載っていました.地元企業の支援、特に地域密着の地方交通機関の支援は地元企業に、という声もあって「再春館製薬」をはじめとする地元企業グループも支援に名乗りを上げていたのですが、3年間での投下資本回収をミッションとする産業再生機構はHISをスポンサーに選んだということです.まあカネボウしかり、ダイエーしかり、異種業界をスポンサーにしても、支援対象会社の中までスポンサー企業が十分入っていくことができないでロクな事にはならない、というのが自明なので、ここでHISが選ばれたのはまあ順当なんでしょうね.
大雑把に言えば田舎で続々と大手の路線バスがこれまで観光専門だった中小業者やタクシー会社にかわっていく、そんな流れで「路線バス事業」は単体ではなかなか儲からない、その中で旧来の会社が新しい会社に変わっていく、そんな流れになるんでしょう.
個人的には、熊本は70万程度の人口があるとはいえ、収益のある都市圏で3社の路線バスが競っていて、いい加減に1社くらい減ってもいいような気がするのでまあそんなものかな、という感じです.そもそも産業再生機構側の言う「路線バスの再生モデル」ってなんなんでしょう.単純に考えて、熊本都市圏で錯綜している路線バス網から考えると、町としては市電を核にして集約し、複数の事業者を絞り込んでいく(市営にするか、市営を民間にまるごと譲渡するか)という事になるかと思います.いや単純な考えですけどね.複数の会社にまたがるってやっぱり使いにくいですもの.で、郊外路線は・・・厳しいですよねえ.
郊外に広い路線を持つ九州産交のエリアには阿蘇・北阿蘇〜黒川〜九重・天草と潜在能力のありそうな観光地を多く擁しています.で、一日100往復(!)の本数をもつ福岡との高速バスを共同運行しているのもこの会社.採算性の高い事業、今後を見込めるも多いようです.そのとき切り捨てられる部分がどうなるのか、生活に密着した部分をどうまかせていくのか?ってのを問題にして欲しいところです.

さて、


再生機構の“集中治療”は急ピッチで進んだ。 中でも、三十近い金融機関から債権放棄の同意を取りつけたのは、再生機構の「大きな仕事だった」(金融機関関係者)という。ただ、最大の障壁となったのは、経済産業省など所管の再生機構と同様に、国土交通省が所管する民間都市開発推進機構だった。
また民都か・・・と独り言なんかを言ってみたりするんですが、こういう債権放棄などのときに何時も問題となるのが政府系金融機関の扱いです.確かに経営責任の問題とか、そもそもその資金はどこから出てきたんだとか問題が多いのは分かるんですけど、政府系同士で背反するのはやめてほしいんですけどね。個人的には政府系の金融機関は殆ど要らないんじゃないか?と思っています.という訳で新銀行東京しかり.