京都の町の大きさ

夕方まで時間があったので、京阪七条→出町柳、そこからなんとなく叡電に乗って二軒茶屋のあたりまで登ってみます.京都駅から20分くらいで出町柳、このへんまで来ると学生街なんですけど洛北の山が間近に迫っていて、川の流れもせせらぎの様(そこまで狭くはないけど)、のんびりした空気が漂います.そこから鞍馬に至る叡山電車へ.土曜日の午後はもう観光客も少なくなってきて、2両編成の小さな電車はちょうど俺が住んでいた10年前と何も変わらないようにチョコチョコと止まっては何人かの地元の人の乗り降りを繰り返します.やがて、岩倉から山に沿うように向きを変えると車窓は新興住宅地へ、ただし一軒一軒の広さもゆったり、ところどころには小さな水田が残っていてちょうど田植えの真っ最中、架線柱は半分くらい木だし、勾配もカーブもきついし、久しぶりに見た50‰の勾配なんてなるほど絶壁ですね。
二軒茶屋まで行くと新緑がきれいで、空はどこまでも青く.小さな生協のスーパー、アイスの冷蔵ケースの前には小学生の女の子が自転車にまたがったままなにかガサガサしていたり、小さな神社の中は木漏れ日が美しく、空気はどこまでも乾いていたり.

京都の町、といっても俺がいたのは学生のときの僅か5年間、しかも京都駅より北側、堀川通りあたりから洛東の山までの間の狭い地域だけなんですが、その範囲だけで生活するのはとても快適でした.自転車だったり徒歩だったりでストレスなく域内を移動でき、かつ必要十分な刺激を得ることができる.繁華街からほんのちょっと行けば鴨川の流れに出て、すこし南北に行けばもう住宅地のひっそりした風情が楽しめる.日常の買物は点在する公設市場やスーパーがあって、大規模店舗(まだ殆どありませんでしたが)は郊外に、こっちは車が必要、というのは日本全国共通なので特に気になりませんね.歩いていると必要なものがリズムよく現れる気持ちいい町だったような気がします。きっと京都で就職してたりしたらまた必要な範囲も広がってきて、たとえば自動車での域内移動は東京よりもはるかに不便、とか、中心市街地が密集している分だけすこし郊外に出るとなんもない、単なる住宅地が延々と広がっていてコアにあたる部分がない、とかいろんな不満が出てくるものなのでしょうが。
久しぶりに京都の町を歩いてみてその心地よさに浸ってみるのでした.田舎だと「車で移動すると気持ちいい町」という事になるのでしょうか。わざわざ車というインフラが必要、というのが寂しいなあ.東京は・・・なんでもあって、目的のために特定の場所に行くにはいいんですけど、漠然としすぎているような気がします。

日も暮れかけた夕方5時前、出町柳で大学のときからの親友と待ち合わせて京阪→阪急で梅田まで.駅の向こうに「HANKYU DEPARTMENT STORE」の電飾看板が見えました.あとは懐かしい人たちと飲み飲み。