まだいたのか、あんたは。

さて地下鉄を乗り継ぎ、貝塚、つう終点の駅から西鉄宮地岳線、つうこれまた2両編成の小さな電車に乗り換え、30分ほどで帰れるのだが、飛行機の遅れで結構遅くなったわけで、いそいそとホームに向かう。
そういや、小学生の頃から、水泳教室に通うのやら、どっか遊びに行くのやらいっつもこの電車に乗っていた。家のすぐ脇を線路が通っているもんで、夜遅くまで電車の音が聞こえていて、俺にとってはすごいなじみのある線だ。しかもウチの回りだけほかに公共交通機関がないので、今でもこれに乗らざるを得ない。昔から2両編成、今でも2両編成、確かに昔は車掌さんが乗っていたとか(すぐワンマンになったけど)ちょっとづつ変わって行くんだろうが、基本的には昔のママだ。まあ小学校に入る前はたしかもっと古い、手動ドアの単行電車だったけどな。

なにがすごいって、俺が小学校低学年の頃に本線から転入してきた電車が未だに現役で走っている。もうあれから20年以上、今日乗ったのは313系、昭和27年製だから・・・50年選手か・・・
ちょうど俺も小さい頃から電車少年だったから、この電車自体覚えている。昔は車体はもっと無骨なリベット打で、床と窓回りは木製の半鋼車だったが、あとはほとんど変わらない。今や数少なくなった吊掛駆動も現役だ。

この線もやっぱり道路の整備とか、平行するJRのがんばりとかで輸送量は急激に低下している。いまやラッシュ時でもほとんど立ち席がなく、収支の悪化をなんとか運行時間を夜間に延長したり、駅を無人化したりしてしのいでいるような状況らしい。

金曜の夜なので、結構リーマンとかが乗っている。でもやっぱり田舎だからか、すごいひっそりともの悲しくなるような雰囲気だ。やがて発車時間になり、頼りないコンプレッサーの音、運転手が後方確認をしてドアを閉め、ゆっくりと足下のモーターがうなりをあげる。昔はそんなに思わなかったけど、ロングレールじゃない突き上げるような振動、木製の架線柱と構内踏切、そして昔のままの電車・・・
なんか変わったのって俺が確実に20才年取ったってことだけなんかなあ。

なんか、残したい風景だ。誰にでもこういう風景が一つくらいあってもいいと思うんだけどな。