ちょっと寄り道して

一日7往復しかしない筑豊本線(原田〜桂川)を経由して帰社、ちょっとだけ旅の雰囲気。
原田駅、というと、鹿児島本線の駅なんだけれどもちょっと人里はなれた山の中にひっそりと木造駅舎があって、駅前にはなにもなかったいかにも「汽車の駅」といった時代のことしか覚えていないんだが、時代は変わって駅舎も建て変わり、新興住宅地の駅といった風情。

でもホームはかさ上げこそされたものの木造の上屋と木造の跨線橋が残り、このあたりは昔のまま。


すれ違うのが難しいほどの幅しかない跨線橋を渡って切り欠きの0番線から桂川行きが発車する。

ここだけかさ上げされていないホームにとまっているのはキハ31の単行、この車両も車齢が20年を超え、結構疲れが見えてきている様子。ただひっそりとアイドリングをしている。

先日引退した新幹線の0系、たしかこの転換クロスシートは0系のものじゃなかったかしら。車両はなくなったがこうして内装パーツは当分まだ使われてゆくんだろうなあ。

こうして20分あまりの待ち合わせのあと、おもむろに列車は動き出した。乗客は小職とあと2名だけ。闇の中を大きく揺れながら鹿児島本線と別れ、筑紫野平野を築堤で横切っていく。付近はバイパスの開通、ロードサイト商店の立地などが進んではいるんだが、そんなものは一切関知せず、昔のままの長い駅間のままひたすら走り続け、次の、といっても6分はしって筑前内野で1人下車。そこからは冷水峠をあえぐようにのぼり、長い長いトンネルで分水嶺を越えて転がるように桂川に向かう。

ただただ走り続ける時間だけが車内に流れる。福岡都市圏といえば都市圏なんだが、ただこうして峠を越えるためだけに生まれたルートは時代の流れに完全に取り残され、ただどうすることもできずに居る。いまや優等列車も貨物列車も通るわけではなく、廃止しないのが不思議なくらいだ。もしかしたら原田のあたりくらい新駅を・・・ってのも、出て原田じゃねえ。ただ、こうして毎日列車は走ってゆく。