埼玉の空は広く

大宮駅の裏側に回ると、こんな小さな駅が。仕事で一回物流センターだか何だかに行くときに乗って以来のご無沙汰だが、なんだかその時にあまりに郊外に向かうのでびっくりしたこの新交通システムの終点まで乗ってみようかな、ということで。路線は「埼玉新都市交通」、大宮から上尾市を通り伊奈町の内宿に向かう全長12.7kmの路線。特筆すべきは全線新幹線の高架にぴったりと寄り添ってひかれていることで、つまり既存の集落とか町とか施設とかにほぼ関係なく路線が伸びているという点。

第三セクターで、埼玉県とJR東日本が株式のそれぞれ35%を保有している。

待つことしばし、駅の裏から考えられないような急カーブで新幹線の高架横まで一気に上がって、あとはひたすらまっすぐ走っていく。次の鉄道博物館で一気に乗客は降り、閑散としたのどかな秋の日が差し込む車内になった。
ちょうど景色は新幹線と並走する阪急のような感じで、たまに轟音をたてて新幹線がすぐ隣を通過していくくらい、反対側の景色はいくつかの駅を過ぎていくうちにだんだん建物の屋根が低くなり、田畑が混じり始める。

駅はこんな感じ。新幹線の上下線をはさんで上り下りが配置されている。しかし、山万なみに小さく簡素な駅のホームだ。
車庫のある丸山を過ぎると線路は単線になり、交換設備を各駅に備えるようになる。単線で開業したということは当初からその程度の需要を見込んでいたということだろう。確かに各駅で交換すれば交換しても8分ヘッド、片方に続行運転をさせることでラッシュ時には最大3〜4分の運転間隔を保っており、十分ということか。開業したのが1985年、そのころの見込みではもう少し住宅開発が進むつもりだったのかもしれない。ちょっと遠くに建売の戸建て住宅が並んでいるのが見える。



終点、中宿にて。本当に「何もない」終点だった。15人ほどの乗客は三々五々どこかへと消えていった。


帰り、その中でも一番なにもなさそうだった志久駅に降りてみた。コンパクトな駅舎、というか売店、というか、周囲は確かに何もない。上尾のほうに行くバスはあるようだが、喫茶店と不動産屋が一軒づつある以外店の気配も特にない。遠くに住宅地が見えるが、日曜日の駅はひっそりと静まり返っている。新交通システムって過重装備なんじゃないかなあ、という気がするんだが、これでも平日になると大宮へ、さらに頑張って首都圏への通勤客がやってくるんだろう。調べてみるとここを7時18分の電車に乗ると俺んとこの会社に定時にたどりつけるみたいなんだけれども、さて毎日どうやってみんな通勤しているのか結構気になるところだ。
この新都市交通、最近は単年度で黒字の状態まで持ちなしていると聞く。そう考えると、今回は日曜日だったので見えなかったが相応の地域の足としての利用があるということなのだろう。ただ乗ってみるとそれが見えないなあという感じだ。