さよなら、僕らの鉄道

・・・いろんな思い出を作ってきた鉄道、廃止まで一ヶ月ほどになりました.きっともう乗ることはないだろうなあ.

最後に一つだけ、行き残していた場所へ.

電車は今日もほんの10人ほどの乗客とともに津屋崎へと向かいます.鉄の人の姿もなく、駅にもなにも掲示もなく、なんかの間違いかなあ、と思うほど沿線は静かです.本当に、来年帰ってきてもなにも何十年間も変わることなく電車が走り続けてるんじゃ、そう思わせるに十分な光景です.無人駅では運転手にきっぷを渡し、新宮・古賀ともう数少なくなってしまった有人駅ではおばちゃんが電車を見送る、毎日見ていたことなんだけれども.
オレくらいのお父さんが子どもと電車の前で記念写真を撮っています.


やっぱり本当になくなるんだなあ、と.駅に貼られた廃止のお知らせとダイヤ改正のお知らせ.

線名になっていた宮地岳で下車、ぶらぶらと歩いてゆきます.

もう桜が満開.
宮地岳神社から山道の自然遊歩道を歩くことしばし、視界が一気に広がりました.

在自山の自然歩道といえば、宗像から福岡市東部の小学校にとっては遠足のデフォなわけで、そのころ眼下下のほうをきらきらと太陽の光を反射させながら走る小さな電車をずっと覚えていたんですよ.なんだかあの風景だけをえらく鮮明に覚えています.そんなわけで、やってきました.かるく25年ぶり.

残念、早朝しか順光にならずなかなかいい写真は撮れませんでした.遠く福岡ドームまで見えるのですが、かすんでしまってただぼうっとした夏の暑い日のような風景になってしまいます.ただ、目の前海はどこまでも青く、昔ながらの家と新しい家が入り混じる近郊地帯をゆっくりと電車が走ってゆきます.昔の記憶をたどると、もっと畑が一面に広がっていた様なきがするのですが、これが四半世紀の時間なんですね.

一時間ほどぼうっとしていました.そんな日も、規則正しく電車は走ります.きっと廃止になるその日まで.