福島県の「まち作り条例」について

先日福島県で、「いやあやっぱりジャスコ王国だなあ」と思っていた矢先だが、実はこんな動きがあっていたんだな.不勉強で知らなかった.


 大型店舗の出店規制につながる全国初の県条例案が、13日の福島県議会で可決される見通しになった。(中略) 「商業まちづくり条例」案で、売り場面積が6000平方メートル以上の店舗について、県への事前の届け出と、出店を予定する市町村への説明を義務づけた。出店地周辺の自治体や有識者でつくる審議会の意見も聞き、問題がある場合、県が計画の見直しを業者に勧告することができるとしている。(中略)
 福島県は、(1)郊外型の店舗ではお年寄りら交通弱者の利用が制限される(2)店周辺の道路網整備など、限られた予算を効率的に使うには中心市街地を核にした街づくりが必要、などの観点から、大型店の無秩序な出店に歯止めをかける手法を検討していた。
 同県内では90年代に入り、福島市郡山市などで中心市街地の大型店が相次いで撤退。一方、郊外には大型店が出店し、空洞化に拍車がかかった。同様の状況は、地方都市を中心に全国に広がっている。
中小店を保護するのが目的だった大店法が廃止されたのが98年、それまでも色々な抜け道を探しつつの大型小売店舗の地域への進出があったんだが、今から考えたら本当に違う時代のように郊外店舗も少なかったなあ、と思う.果たしてこんなに日本に売場面積数万㎡超の店が出来るなんて予想できたかなあ.まさか大型モール同士の競合がここまであるなんて.

で、イオングループがそれに反発.


 同社は通知書で「『商業まちづくり』の概念が大変抽象的で、業者にはどのような行為をすればいいのかが事前にわからない」「勧告・公表という小売業にとって致命的な制裁がある」などと指摘し、不明確な構成要件で刑罰にも匹敵する効果をもたらす制裁を定めているなどとして、「営業の自由」などを定めた憲法22条1項に違反する、としている。
 また条例案が、大規模店について、「広域の見地から適正な配置を推進する」としている点に触れ、「まちづくりという不明確な概念のもとに需給調整が行われる可能性が高い」などと指摘。需給調整を禁じた大店立地法にも矛盾・抵触するとして、「法律の範囲内で条例制定」を決めている憲法94条にも違反すると指摘している。
 イオンの友村自生・渉外部長は「京都市も条例で大型店を規制しているが、『出店可能地域』と『出店できない地域』のゾーニングがなされており、『出店できない』地域はどんな大型店でも出店できないなど基準が明確だ。しかし、福島の条例案では、業者が個別に出店希望を出してから調整が始まるため、不透明だ。県のさじ加減で恣意的(しいてき)運用になりかねない」などと話している。
恣意的な運用、という言い方はともかくとしてこの「許認可はやってみるまでどっちに転ぶのか予想できない」というのは昔からずっとある悩みだ.ええ随分悩まされましたとも.しかし、ここで憲法をもってくるか?というのが率直な感想なのだが.これだけ読むと「営業の自由」が何にも勝っているように読める.

ちなみに、この条例案はここに.

要は、

  • 各市町村単位で「商業まちづくり基本構想」を定める
  • 小売業者は、小売業施設を作る際にはあらかじめ届け出なければならない.
  • その上で、立地予定市町村や周辺の基本構想とあっているか、また交通手段や社会資本の整備について審査がされる.

つうことらしい.確かに「まちづくりの主体ってだれ?」とか、「地域貢献活動って何?」とか「審議会の委員って誰がなるの?」とか疑問は一杯あるのだが、「こうありたい」という姿を明確に出来て行けるといいなあ、というのが正直な気持ち.そういう意味で、「福島県の中の人、乙」という気持ちだ.とりあえず、「普段の生活圏というのはこのへんまでが適正かな」という一つの意識みたいなものはあってもいいかもしれないし、


今こそ、将来に向かって、環境への負荷の少ない持続可能なまちづくりや歩いて暮らせるコンパクトなまちづくりの考え方に基づき、県にあっては特に規模の大きな小売商業施設について広域の見地から適正な配置を推進し、地域住民及び小売業者等にあっては魅力ある街づくりに向けて相互に協力し地域に貢献することが必要である。
つうのは一つの指針としていいこと言ってるなあ、と思うわけだ。 
明確な基準が無い、というのはたしかだが、一律にやっていくのは難しいなあと思う.ただそういう意味での覚悟というか意識って事業者のほうにも必要だよなあと思う.