野菜の産地表示から

やっぱり都会に住んでいると、ふと田舎の田園風景を思い出したりして、季節はもう秋、稲穂が頭を垂れ始めたところかなあとか思うわけです.スーパーとかで野菜を見ても、産地表示を見て、地名からその向こうに広がっている風景を想像したりしてるんですが、最近はそういう風にも行かないなあという話.

日経産業新聞(10/4)の記事「工場の野菜 販路急成長〜ラプランタなど各社相次ぎ増産体制〜」を斜め読みして、ふと目に付いた一文.


葉物野菜が収穫ベースで「一年二十八毛作が可能」(JFEライフ)
365÷28≒13
切れ目無く2週間サイクルで、サニーレタスか何か分かりませんがそんな葉物野菜が収穫できる、ということになります.天候に左右されず安定した品質と数量、農地法の規制を受けない立地の自由さ、無農薬栽培による「安心」さが受けて、このような工場野菜は勢力を伸ばしつつあります.価格的には光熱費・動力、空調費などがかかるので、通常の1.5倍〜2倍かかる、また市場を通過しないのがほとんど、ということで、まだ市井のスーパーなんかではあまり見れないようですが、各社とも工場の増強と外食産業への拡販、そして安価な若年層の労働力の投入によりコストを引き下げ、収益性を高めようとしている、ということです.
実際に消費者からの支持もかなり高く、「高級野菜」として積極的にアピールしていくということ.

あと、カゴメやキューピーなんかはよく知られてますね.


いやあ、確かに「安心」といえば「安心」ですけど.やっぱり違和感があるなあと思うんですよね.
「大地に生きる」とかいう言葉はまあ嘘っぽいし、そんなことをいう気もありません.日本とまったく違う農薬規格で、また規制網が十分整備されていない外国産はやっぱり気味が悪い(一般論でね)し、そういう野菜もいやなんだけど、うーん、やっぱりこういう野菜ばっかりになってしまうのもいやだなあ.今は工場野菜といえば葉物野菜が中心で、あとトマトとか茄子とか位なんですが、そのうち根菜までできるようになるんでしょうかね.
しかし、今後この分野の技術はさらに高まるんでしょう.電照(主流はLEDのようですが)と空調をまかなうための発電やなんやでCO2を排出するなあ・・・とも思ったんですが、それをうまい具合に光合成にまわせればいいんですね.で、投入エネルギーなんですけど、これが露地栽培並みに効率的になってきたら、本当に工場野菜に置き換わって行くような気がします.まあ・・・仕方ないよなあ.
しかし、そんな時って本当に産地表示ってどんな意味があるんでしょう.きっと生産企業の名前とかに置き換わって行くんでしょうね.見ている「景色」が変わって行く、そのむこうの「景色」が見えなくなるのはとても悲しいものです.ついでに、季節感がいっそうなくなって、面白みが無くなってしまいますね.まあいまでもレタスとかサラダ菜ってそんなものかもしれませんけど.

ま、こんなこと現実に起こるのはずっと先なんでしょうけどね.