りえぞう先生の件

好きな漫画家、といえば真っ先に西原理恵子を上げるわけですが.初めて出会ったのは、えっともう20年も前、エロ漫画雑誌に載っていた4ページくらいの連載マンガだったなあ.ほら、中学生(小学生か?)くらいってそういうのに興味があって、いや拾ったんだったかな、まあどうでもいいや、で後ろのほうにひっそりと漫画が載っていたのでした.やっぱり子供の頃の話で、金魚鉢に金魚かなんかをかっていてそれにカビが生えたとかどうかという話だったような気がするんですが、ほかの事は何も覚えてないのにいまでもその漫画だけは鮮明にいるんですよ。勿論デビュー前、美大の頃の漫画かなあ.
それ以来、殆ど読み倒して、でも「ちくろ幼稚園」と「ゆんぼくん」が一番好きなんですよね.あの透明感のある余白がなんともいいんです。

少し乗り遅れましたが、人気のこんなニュース.昨日はYahoo!のトピックスでも取り上げられてました。


文化庁メディア芸術祭賞を受賞した漫画「毎日かあさん」を巡り、作者の漫画家西原(さいばら)理恵子さん(40)と東京・武蔵野市の間で論争が起きている。
西原さんの長男(8)が通う同市立小学校が、西原さんに「学校を作品の舞台にしないでほしい」と申し入れたためだ。
 「表現の自由への圧力」と抗議する西原さんに対し、市側も「正当な教育的配慮」と譲らない。双方が文書で主張を繰り返す事態となっており、9月2日の同市議会でも取り上げられる予定だ。
(中略)
問題となったのは、授業参観の場面。主人公の母親が、落ち着きのないわが子を含む児童5人を「クラスの五大バカ」と表現し、ユーモアを交えつつ、子どもの成長を見守る内容だ。
この場面が紙面に載った直後の昨年11月、長男の担任の女性教諭(40)が西原さんを学校に呼び出し、「迷惑している」「学校を描かないでほしい」と注文をつけた。
 西原さんは翌12月、毎日新聞社の担当者と同小学校に出向き、校長らに「保護者だからといって、編集者を通さず作者を直接呼びつけるのは非常識だ」と抗議。校長らは「学校に落ち度はない」と主張したという。
 西原さんは、父母の一部から「学校とトラブルを起こすならPTA活動に参加しないでほしい」と告げられたのを機に、今年6、7月、弁護士を通じて市側に「作品はあくまでフィクション」「公権力による表現の自由の侵害ではないか」などの文書を送った。これに対し、市側は、「他の児童や保護者への配慮をお願いした」「作品中に『武蔵野市』の固有名詞もあり、児童の人権に教育的配慮を求めることは当然」などと、8月までに2回、文書で回答した。(後略)
このニュースに関してははてなダイアリーでもずらりとエントリーが並んでいるのですが、「この呼びつけた校長は何様だ?」という意見、「マンガだから大目にみてよ」という意見、そして一番多い「サイバラと争うなんて無駄なことを・・・」という意見、いろんな意見があってなかなか面白いです.やっぱり「脱税できるかな」のインパクトって絶大だったんですねえ。
さて。
この「毎日かあさん」リアルで読んでないんですけど、まあフィクションといえばフィクションだしでもノンフィクション、そういう位置づけの漫画なんでしょう。これをもって「人権侵害」言われると少し違和感を感じます。でもたしかにそうと言えなくもない、微妙なところかなあ。
対するりえぞう先生ですが、「表現の自由」を理由としてあげた・・・ことになっています。多分理由なんてなんでもよかったんでしょうね、だって漫画家ですもの、テーマを見つけたら書かなきゃ。
ついでに毎日新聞のそっけない対応も大好き。


西原さんは、父母の一部から「学校とトラブルを起こすならPTA活動に参加しないでほしい」と告げられたのを機に、
この辺が問題なんでしょうか、で、遡るとこの女性教諭の発言に行くわけですが、その裏には「父母から教諭への圧力」つうのがなかったのかなあとか思うわけです.実際にはアレかなあ、この校長先生がいいおじさんなかおをしていて(「もんじゅ」のときみたいにね)、PTA会長がアレな描かれ方をしてたらあたり、今度読んでみます.
「子供のプランバシーが」とかいう意見もあるみたいなんですけどね、大人と子供の世界の枠組みは違うんですから、でこれは大人が児童の世界を観察しているだけで、それで実害が出たら初めて考えたらいいことなんじゃないかなあ。教諭なんて枠組みの違う児童の世界に大人の世界の知識と枠組みを教えるために存在しているだけのはずなんですが、いつから世界を取り込んでしまったのやら、と思っています。
全くこの教諭ってなんだかなあ。

西原理恵子のよさはその辺を突いているところなのに。

・・・とおもったら、本日付の公式サイトで謝罪・・・・つうか、あらあらぜんぶぶっちゃけてます。全然謝ってない。さすがだ。
ともあれ、人のことながら面倒だなあという事件でした。早く復活してほしいもんです、りえぞうせんせ。