ゆかた

今年はゆかたの売れ行きがいいそうです.6月にちょっとリサイクルの和装屋について書きましたが(id:a-50:20050625#p1)、新品も出れば中古も出る、市場そのものが珍しく広がっているみたいです.数年前にスーパーでつるしの浴衣を買ったお客さんが物足りなくなって2着目、3着目、または本格的なゆかたへとステップアップ、で、最初に買ったゆかたのいくらかはリサイクルショップに流れていく、という流れ.しかしいいですなあ、ゆかたは.ええ.

で、ゆかたの生産量が増えているという話.


昨年度の和装産地の生産は、軒並み減産と見られますが、流通段階での商況不活発から、防衛的に減産で対処せざるを得ない状況に追い込まれていることで共通しています。
 唯一例外は、ゆかた産地の生産動向で、全国のゆかた生産量は平成14・15・16年と3年連続で増産を記録して、昨年は238万枚の生産量を記録しました。ゆかたの生産量は、京友禅の15年度の総生産が84万反、丹後産地の16年度の白生地総生産量が111万反と比較すればその多さを実感します。このことは、季節商品であるにも拘わらず、一旦、ゆかたがファッション化現象を起こすと、これほど“数量パワー”を生むということを意味しています。きものをファッションアイテムの一部として浸透させることが、長引く産地の減産傾向に歯止めをかける根本策であることを改めて覚醒させられるものです。
産地別に見ると、次の通り.(数字は平成16年、カッコ内は平成14年)

  • 浜松 132(111)
  • 東京 43(32)
  • 京都 52(43)
  • 名古屋 27(27)
  • 大阪 3(5)

浜松のシェアの急進が目に付きます.というのも、浜松の染色はもともと歴史があるうえ、「広幅スクリーン」という120cm幅の生地を一気に染め上げて裁断する、という方法をとっており、従来の反物=小幅織物(幅約37cm)にとってかわろうとしているからだとか.この広幅、以前からあったのですが、「反物じゃない」ので統計の中に入っていなかったようです。で、それを中国などでだだだっと機械縫いして出来上がるのが今のゆかたになります.

ここまで書きながら俺自身ゆかた欲しいなあ、とか思いながらまだもってなかったりするんですけど、こうして流行を作っていく過程で其々の産地がつながっていくんだなあ、とか思うわけですよ.
とりあえず、スーパーで売っているゆかたというのはこうやってできているわけです.それが本物の「ゆかた」かどうか、それは俺にはわかりません.でも一度見てみてもいいんじゃないでしょうかね.