諫早湾干拓とか

とかいっても、予算なんて各部署とのすり合わせの産物ですから、いろんなところと歩調を合わせないと仕事になんないわけです.実際来年度以降の営業方針は?とか、外はどんなこといってんの?とか.ということで、なんか今日一日は待ちの気分.で、そんな中やっぱり気になるのが諫早湾干拓のニュース.

とりあえずざっと概観だけ考えてみました.


【福岡支社】国営諫早湾干拓事業の工事差し止めを命じた佐賀地裁の仮処分決定をめぐる抗告審で、福岡高裁(中山弘幸裁判長)は十六日、「事業と漁業被害の関連性は考えられるが、立証は十分でない」などとして、決定を不服とした国側の保全抗告を認め、工事の差し止めを取り消す決定をした。国側は昨年八月の佐賀地裁の仮処分決定以来ストップしていた工事を近く再開する。
(中略)
 中山裁判長は決定理由で「工事の差し止めを認めるか否かは、事柄の性質上、一般の場合より高い立証が要求される」と事業と漁業被害について証明のハードルの高さを指摘。その上で「短期開門時の水質環境調査や学識者の見解などを総合すると、事業と有明海の漁業環境の悪化との関連性は否定できないが、関連の割合や程度までは認められない。事業は漁業環境悪化の複合的要因の一つとしての可能性にとどまり、漁業被害の立証は不十分」とした。
「被害の関連性」まで考えられる、としたのに「でも立証できてないでしょ」という厳しい判断です.これで工事は再開され、とりあえず「干拓事業は完成」(なにをもって完成とするのかは難しいところですが)するんでしょう.予算比率で進捗率90%超まで進んでいるので、完成までもう一歩.有明海の環境に与えるインパクトは・・・ま、普通考えてアレだけ大きいもので海岸地形を変えてしまうので影響ないわけはないかな、と.

ちなみにこの堤防、福岡に住んでいたときに長崎本線は手ごろな撮影地だったので何回か行きましたが、でかいです。マジでかい。やばいくらいにでかい。遠くから見ると、うーんアクアラインが全部締め切られてるって感じでしょうか.最近は内水部の干拓が進んできたみたいなので大分変わってきたのかもしれませんが.すげえなあ、水害を防いで農地を作るのにこんなに巨大な堤防がいるんかなあ・・・というのが正直な感想です.
ま、その辺のいきさつはいろいろある訳でみなさん御存知の通り.必要か、必要じゃないか、その辺の論議が十分に進まないまま、大昔の事業計画が実行されてしまった公共事業の象徴、と俺は思っているわけですが.

有明海」という視点からだったら、熊本日日新聞の特集が詳しいです.

長崎県知事はこんな感じ。「早く完成させることが問題の解決になる」ってのは解決じゃないだろ.しかしその奥にあるいろんな利害関係を考えたらこういう意見になっちゃうんでしょうかね、やっぱり。


知事は「工事は90数%進んでおり、防災の意味からも(取り消し)決定がなされたことはよかったのではないか」と安堵(あんど)の表情を浮かべ、「中・長期開門調査は長期にわたるし、新たな負担も生じる。早く完成させることがいろんな問題の早期解決につながる」と語った。
実際のところ、この事業の是非というのは一概には言えないんですけどね.「海苔が取れなくなった」という意見に対しては「03年度は史上最高の豊作」という意見もあれば、「でも大牟田側(対岸)は不作だった」、という報道もある訳で。また、海苔養殖業者が海苔養殖網の消毒に使う酸性溶液が環境悪化の一因になっている、というのは事実のようですし、「反対運動」の視点からだと海苔養殖業者とタイラギ漁などのほかの漁民、補償の範囲の問題などとぐぐればいろんな問題があるってのはよく分かりました.

ただ、このニュースに関して一番の感想に近いのがこのへん.2ch、殿板だったかは忘れたけど。


116 :ナンパ歴3年 ◆0zlkQsNXAo :2005/05/17(火) 02:24:59 id:fIGLCaiB ?
この件の是非はともかく判決としては「立証責任あるところに敗訴あり」の典型だな。

俺は会計士で商法のことしかわからないのだが、国は国民のために仕事をするという観点からは対国の場合に原告側に立証責任があるのはちょっと相容れない。

法曹はこういう制度を問題とかにしてないの?

うーん、難しい。