夕凪の街桜の国
- 作者: こうの史代
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2004/10/12
- メディア: コミック
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なんかいい感じの絵柄に過去と現在が同居する、そんな不思議な感じです.戦争は遠くなった、みんなそういう風に言うようになって、国のあり方、とか、自衛隊とは、とかがタブーなく語られるようになったのはつい最近(まあ一論ですけどね)だと思うんですが、よく考えたらまだまだ戦争を身をもって知っている人はすぐ身近にいるんだな、とか思ってしまったわけです。そういえば、このへんのお年寄りとたまに話をすることがあるんですが、みんな「戦争」を昨日のことのようにお話になります.ちょうど「このへん(板橋区志村坂上)に大きい爆弾が落ちて、大穴が開いた.みんなで見に行った」だとか、「空襲の時は、この辺から東京の方が真っ赤になっているのが見えた」とか、で、決まって「戦争はいけない、いやだ」とおっしゃるんですよね。「するべきではない」とか「間違っていた-ただしかった」とかではなく、自分であったり相手であったり街であったり文化であったりを根こそぎ失わせてしまうのが戦争である、という根幹がこういうところにあるのかなあ、と。
ま、身近に考えると、俺んとこのオヤジも母ちゃんも外地生まれの引き上げ組、ということで、大変な苦労をしたようです。一度も聞いたことはありませんが、兄弟も亡くなったり、そんな様子、やはり体温として「戦争は・・・」という考えは持っているのかもしれません.
いや戦争論、とか俺は全くいう気は無くって、なんにしてもこういう皮膚感覚が大事なんじゃないかなあと思うんです.そしてそういうリアルな過去があって、今がある.全てのものは昔からつながっている訳ですからね.なにが大事なのか、これまでそれにはどういう価値があったのか.そういうことをぼんやりと考えています..