南太平洋の怪しい社会その1

sa-502004-10-05


6日のニューヨーク商業取引所原油市場は、国際指標となる米国産WTI原油先物価格が午前の取引で上昇し、前日終値比0.71ドル高い一時1バレル=51.80ドルと、前日につけた過去最高値(51.29ドル)を更新した。9月のハリケーンで被害を受けた米メキシコ湾周辺での原油生産や精製設備の回復が遅れているとの見方が高値圧力となっている。
直接俺の生活には殆ど影響は無いのですがね。

はたして、この原油高はどこまで続くのか?ガソリンへの価格転換は一息ついているみたいだけど、都内でも115円とか120円とか、なんか10年前の高速道路のSAみたいな値段になってますな。
さて、この原油高でさぞや産油国は潤っていることだろうな、なんてったって資源をそのまま輸出するというのは、何かを生産するよりも強いなあ、そりゃアラブ人(特にサウジ)働かないわなあ、とか考えてた。
中学校のころとか使っていた地図帳には「世界の資源」とか、「主な自給率」とかいう円グラフが載っていた。地図マニアだった俺は、mたとえば中国やサウジが巨大な産油国ででっかい円が書いてあったり、アメリカは生産もするけど消費が多すぎて「アホな国だなあ」とかかんがえていたのだが、そんな地図の中に目に付く国があった。
 太平洋にぽつんと浮かぶ島国、ナウル。付近のキリバス、ソロモンと並び、島の上には小さく「りん」と書かれている。島全体が化学肥料などの原料となる燐鉱石で出来ており(その元は、アホウドリの糞が堆積して石化したものだそうだが)、輸出の100%をりんの輸出でまかない、それが現代社会に欠かせない資源であるがゆえにミクロネシア一の生活水準を誇る国、ナウル

それ以来長いこと忘れていたんだが、その間にすごいことになっていたみたいだ。偶然か「街づくり」→「ものづくり」→資源・・・とたどっていったら、ナウルのページに行き着いた。どうやら俺が中学校を出てはや15年、ナウル(と周辺諸国)を巡る状況は一変し、はたからみたら冗談のような面白いことがおきてたんだね。そういやこの前のアテネオリンピックに出てたな・・・開会式でみたな・・・・

ちょっと前の流行で旬はすぎてるんだが、まあ紹介。

  • ナウルは島全体が燐鉱石、採掘した全量を輸出。
  • おかげて国家財政は安泰、国民に対する税金は存在せず、逆に利益を年金という形で国民に分配していた。
  • よって、ナウル人は基本的に働かない。労働力を外国から輸入。

ここまでは中学校のときに習った。ところが、

  • 燐鉱石はこの10年でついに枯渇。
  • 他に島に産業は皆無、農林水産業も全く産業として成立していない。(働かない、輸出する設備ない、など・・・)
  • さすがに国がなくなってしまうので、枯渇直前から、ナウルは生き残りをかけて様々な投資等を行う。

ところがナウルの人には「労働」つう習慣がない。働かないのでことごとく考えることは・・・

  • 隣国、オーストラリアにテナントビルを建てる→賃料収入だけで全国民がまかなえる訳無い。しかもテナント入らず。
  • グアムにホテルを建てる(運営は丸投げ)→全日空ホテル、ということは一応うまくいっているのか?
  • 魚市場、養鶏場をつくって生産消費を促す→「働く」という習慣が無いので・・・
  • ナウル国籍」を販売。一人25,000ドル。→犯罪の温床という説も。
  • インターネットバンクによるオフショア口座の受け入れ→アメリカテロの発生で、テロ資金の温床と目をつけられ破綻。

で、最後にゃオーストラリアから難民を大量に受け入れ(オーストラリアが押し付けているとかいないとか)とかしてるようだ。
この数年、国際電話が通じなくなって国際社会から孤立したり(線が1本だからね)、大統領が二転三転したり、政情不安じゃないかといわれたり、国家の体すらなしていないような状況になっているようで、いやとにかく冗談のような話になっている。さては

いろいろみてみた。全て外部リンクなので、ざっと読んでみて理解できる範囲がナウルの現状のようだ。

ちなみに、同じようにリン鉱石の輸出で外貨を稼いでいた近くの2カ国では、ナウルより少し前にリン鉱石を撮り尽くしてしまい、農業国(?)へと転換している。素朴な国っぽい(GDPの低さでは遜色ないが、破綻というはなしも聞かないので何とかうまくやってるんだろう)


ナウルと同様に燐鉱石の生産・輸出に依存していたが、79年末に燐鉱石は枯渇した。
このため、80年以降の輸出をみると、燐鉱石にかわり、コプラが輸出総額の90%を占める最大輸出品目となっている。コプラは、すべて英国に向け輸出され、残りの10%を占める魚類が米国および日本へ輸出されている。
一瞬「コブラ」に見えたが・・・コプラ、ココヤシの実の加工品で香料、石鹸などの原料となる。ナウルは先達に学ばなかったのか・・・、もともと南太平洋一の豊かさを誇っていたがゆえに転換できなかったのか、実際島の中心は掘削しつくしており、農業などできる状態ではないそうだがだからやる気がしなかったのか・・・

そうかんがえると同じく国土が狭くてやったら金持ちの国、東南アジアの雄、ブルネイ=ダルサラーム王国とか大丈夫なんだろうか。
単一資源に依存しまくるって本当に怖いなあ。
実際「オーストラリアに併合して自治領かなんかになる」つう選択肢が一番ありうるような気もするが、経済的に成り立たないから国家として解散する、という例は聞いたことがない。こりゃ当分(長いスパンで)目が離せない。
単一資源、しかも天然資源の採掘=搾取に依存する社会は大変もろい、それは国家じゃなくても一緒、企業城下町だって同じような側面をもっているわけで、はたしてどうやってバランスをとっていくか?長いスパンで社会を維持するにはどうすりゃええのか、という問題があるわけ。