中央道昼特急京都2号

いや、本当にどっちにしようと6時に開いたローソンのLoppi端末の前で迷ったのだが、とりあえず市バスで京都駅に向かう。で、駅でもしばらく迷ったのだが・・・そうだ、昨日の晩殆ど寝てないんだよ。財布の中も心もとないし、一度乗ってみたかった便ではあるし、というわけでこいつをチョイス。

知らない間にやったら便の増えた昼特急シリーズ、とりあえず京都を一番に出る便の乗車券を購入して、時間があるので目の前のタワー浴場で朝風呂、600円也。この銭湯には2週で3回目だな。
さてまだ時間がある。ふとバスターミナルにおいてあった時刻表をぱらぱら眺めてて気づいた。わざわざ便の少ない京都駅発じゃなくって、名神深草から大阪発を捕まえたらもっと早い便に乗れたんじゃないか?とか、山手線への連絡切符(昼特急+山手線区間内で¥6100)のほうが得だったんじゃないか?とか。やっぱり行き当たりばったりはいけないな。
やがて定刻前、徳島行の京阪バスに続き、ゆっくりと巨大なダブルデッカーエアロキングがやってきた。やっぱりおととい乗車した汎用ハイデッカーとは迫力が違う。

ごそごそと乗車、しばらくすると静かにバスは動き出した。ダブルデッカーなんて乗るのは何年ぶりだろう、前に運転席もないこの隔離された感じ、いつもより格段に高い視線が非日常へと誘う。長く丁寧な案内放送が終わるころにはバスは五条坂を登ってゆく。普段なら左右の防音壁に視界がさえぎられるところだが、おお、眼下に東大路が・・・・

・・・目が覚めると、養老のパーキングに入るとこ。少し乗客が増えたらしい。・・・また一眠り。
・・・次に目が覚めると、長い長い上り坂をバスは淡々と登ってゆく。左に見えるのは・・・南アルプスの山のはしっこか?まだ田圃は青々としている。
ただ何もせず時間だけがすぎていく、といった感じ。しばらく寝て、目が覚めて本を何ページか読んで、また空いた中央座席に本を投げ出して毛布に包まる。新潮文庫の「無人島に生きる十六人」(須川邦彦著 ISBN:4101103216)を読み終わり、図書館で借りた「ゼミナール現代金融入門」(斉藤精一郎著:日本経済新聞ISBN:4532132452)を何ページか読んでいるとまた睡魔に。
・・・次に目が覚めると、長い長い下り坂になっていた。もう中央道の東半分に入ったのだ。
やがて、眼下に刈取中の田圃が広がり始めた。山間にはレールが見え、スーパーあずさが走ってゆく。だんだん並走する車が多くなり、気がつくと曇り空の下、ぼんやりとした秋の光はますます消え去るように黄色へと変わってゆく。やがて黄昏が薄暮に変わるころ、秋の雨が降り出した街の中にバスは入ってゆく。

やがて30分ほど遅れて新宿の雑踏にバスは現れる。薄いスモークガラスの窓を通して見る雨の新宿は、賑やかそうに人が行きかい、高島屋の建物は、その前の新宿駅はとても明るく輝いているのにどこか別世界の様で、人の流れが繰り返される単調なイメージ。このシーン、ボカノウスキーの映画「海辺にて」で見たんだっけか。そんなことを思い出しているとやがてバスの扉が開く音がした。相変わらず外は冷たい雨が降っている。
ぼんやりしたまま、埼京線三田線。一瞬見た新宿の雑踏は幻だったのか?と板橋で考えたり。