死に向かう記事


山形新幹線にはねられ19歳死亡 つばさは50分遅れる

20日午前8時45分ごろ、山形県上山市北町のJR奥羽線茂吉記念館前駅わきの踏切で、同市金谷の専門学校生、小関夏海さん(19)が、同線を走る新庄発東京行きの上り新幹線「つばさ106号」にはねられ、頭の骨が折れるなどして、まもなく死亡した。
 上山署の調べによると、小関さんは同駅に停車中だった下り普通電車に乗ろうとして、遮断機が下りている踏切内に入り、反対方向から来た新幹線にはねられた。新幹線は定刻より6分遅れで運行中だった。
痛ましい事故だ。もちろん直前までそんなことになるなんて誰が思ったことだろうか。それにしても、この短い記事の最後の一文章がとてもとても嫌いだ。

 この事故で、「つばさ106号」が約50分、下りの「つばさ101号」も約30分遅れ、約560人に影響が出た。 (01/20 11:41)
いや、確かに急いでいた人もいるだろうし、大事な商談に遅れた人もいるかもしれない。電車が遅れた理由を知りたい人もいるだろう。でも、そんなことを伝えるためにこの記事は書かれたのかい?記者に聞いてみたい。きっと自動的に列車事故(事故でもないような気がするが)の報告が鉄道会社から流れてきて、それに乗客数を足し合わせて、記事の出来上がり。そして俺もその記事を、朝満員の通勤電車の中で、小さく折りたたんだ新聞で読むのだ。もしかしたら自分が乗った電車がそういう事件にあい、仕事に遅れるかどうかを気にするのだ。
いや、そんなんでいいのかい?別に電車にはねられた女性をかわいそうだとか、もっと安全設備をとか言うわけではない(そういうことも考えなければいけないが)。でももっと考えなければいけないことはあるはずだ。自分のこと、仕事のことばかりでほかの事に無関心になってないかい?


サッカーゴール倒れ生徒死亡の中学校長自殺 静岡
18日午前8時ごろ、静岡市立清水第六中学校の池上光浩校長(58)が、同市清水押切の自宅で首をつって死んでいるのを妻(55)が見つけ、119番通報した。同中学校では今月13日、校庭のサッカーゴールが強風で倒れ、中学3年の男子生徒(14)が死亡した事故が起きていた。池上校長の自室から十数通の遺書が見つかり、県警清水署は、校長が事故の責任で悩み、自殺したとみて、関係者から事情を聴いている。
まずは謹んで哀悼の意を表しておく。しかし・・・
彼女がニュースを見ながら一言。「先生が自殺だなんて、命の尊さを教えるのが先生じゃないのかな。」
校長先生もきっと責められたりしてつらかったのかもしれない。警察は「業務上過失致死の疑い」があったという。確かにあったかもしれない。でも自殺はいかんよ。絶対にいかん。中学生の子がどういう状況でサッカーゴールにつぶされたのかわかる由もない。「使ってないときは倒しておく」という基本的なルールが守られていなかった、とするならば、学校の管理責任者たる校長先生にも非はあるが、学校全体、先生、生徒皆に非はある。もしかしたら生徒さんにも非はあったかもしれない。俺らのころ、サッカーゴールのバーに掴まってぶら下がり、ゴールを倒すという危険極まりない遊びは確かに存在したが、そういう状況があったのかもしれない。もしそれならば相当の自己責任が問われるはずだ。そして先生は「そういうことをしたら叱る」存在であれ、そういう事故を未然に完全に防ぐのは不可能だ。ましてや中学生だろう?
そういうニュースは連日のように紙面にあふれ、電波として日本中をめぐり、ネットにあふれ、こうして多くのblogも書かれる。しかしそういう文面では命の尊さ、そしてきっとある一番大事な事は伝わってこないはずだ。この可哀想な校長先生も、すごい生徒を大事にしていたのかもしれないし、もしかしたら「校長」という責任に(多分に押し付けられた責任もあるだろう)押しつぶされたのかもしれない。この記事に接した俺もただ読み飛ばすだけで、本当に大事なものを読み落としているのかもしれない。
読め。見よ。信じるもののために。