いまさらですが、referとして「彼をイラクに行かせないで」

asahi.com

本当にいまさらだが、しばらく時間がなかったので飛ばし続けていたネタ。もしこのニュースソースを知らない人がいたら、ぐぐってみると驚くほどたくさんのページにあたるので、注意すること。
ニュースソースは朝日新聞websiteアサヒ・コム。トップページからたどれる国際ニュースのトップに表示されたため、論争に火がついたものと思われる。肝心の記事はもう期限切れで削除されてしまったため、他のページから記事と写真を引用してみよう。
写真は"noppo"さんのwebsiteから転載。記事はgoogleクリッピング記事から。
http://noppo.air-nifty.com/nopolog/2003/12/post_9.html


2003年12月11日(木)
「彼をイラクに行かせないで」たった一人の街頭署名活動

交際相手が自衛隊イラク派遣要員に選ばれた札幌と千葉の女性が、それぞれ1人で派遣反対の署名集めを始めた。政府が派遣を決めた今、どうしたら派遣を止められるのか。そんな気持ちから、師走の街頭に立つ。

■札幌で

 札幌市の中心街にある狸(たぬき)小路。商店など約200軒が並ぶアーケード街に10日午前、23歳の女性が立った。署名用紙を載せて首から下げた手作りの板には、「恋人を奪わないで」と手書きした紙がさがる。零下2.5度。降りしきる大粒の雪がアーケードの下に舞い込む。
「私の彼がイラクに派遣されます。反対の署名に協力してください」
彼とは今年の夏に知り会った。第2陣で派遣される見込みの第11師団(札幌市)の隊員だ。
10月末、「イラクに行くことになった」と告げられ、驚いた。「断れないの?」「めったにない機会だから行きたい」。国際貢献活動に参加した隊員は、帰任後の処遇で優遇される。将来を考えての決断だった。
訓練が多く、会えるのは2〜3週間に1度。いろいろ聞きたいが、「何も話せない」と口は重い。「イラクの人は、おれたちを敵だと思っているだろうな」。彼も、時折、不安を口にする。
全国で反対署名を展開する運動を知り、署名簿とビラを取り寄せた。「とにかく何かしないと。でも、どこまでやればイラク行きを止められるのか、わからない」。初めて署名集めに立った10日、夜7時すぎまでかかって130人に署名してもらった。「頑張って」とねぎらってくれる人もいたが、「隊員を辞めたら」とも言われ、ショックだった。

 ■千葉で

 千葉県に住む30代の女性は、8日から県内の自宅近くのスーパーや繁華街で、署名活動を始めた。隊員の彼は同世代。2カ月ほど前、派遣を打ち明けられ、「不安にさせるから別れた方がいい」とも言われた。
行ってほしくない気持ちは伝えたが、彼は悩んだ末、厳しい訓練に耐えてきたことを無駄にしたくないと、決意したという。聞きたいことはいっぱいあるが、話が堂々めぐりになって、彼を悩ませるから聞けない。
「このまま何もしないでことが過ぎていくのは耐えられない」と、署名集めを始めた。8、9の両日で約160人。「こういう思いをしている人がいることを、たくさんの人に知ってほしい」と訴える

一番最初に見た批判はid:kanryo氏の12月11日付(http://d.hatena.ne.jp/kanryo/20031211)。探してみると他にも反対、賛成いろいろ出てくる。なんとリアルで面白いのか、またなんとこの世の中にはこういうことに関して意見を言いたい人にあふれているんだろうと感心することしばし。むろんその一人だ。ちなみに私の意見は、

  1. イラクで発生している事態は、テロルではなくて戦争状態が継続しているというべきではないか。フセイン政権が民衆の支持を得ているとはいいがたい(得てないともいいがたい)が、政府の最高指導者は現在逃亡中である。WW2のドイツ戦はヒトラーの自決で、日本戦は国王たる天皇による降伏受諾で終わったとするなら、統治機能を失っただけで、抵抗が内戦からテロルになるとは思えないのだが。
  2. よって、現状フレームで自衛隊を派遣するのはいかがか。ていうか俺が隊員だったらあんなあいまいな条件じゃ1日3万の危険手当で割が合いません。
  3. ただし、自衛隊は派遣すべきと考える。理由は国益にかなうから。資源の安定供給、市場の確保とともに表面的なものであれ平和維持活動への参加は、国家間相互の視点を広げてくれるだろう。
  4. ただし、死んだ外交官二人を祭り上げようとする政府の意図は見え見えすぎる。テロの犠牲になった、という言葉は(テルアビブの日本赤軍のように)無関係に犠牲になった一般市民の方々に使うべきでは。テロの犠牲になったのではなく、敵だから攻撃されただけのことである。謹んで哀悼の意を示すものであるが

まあこんなところ。一般人たる俺が行ったところで空論で無責任な意見であることは変わりない。
それよりもなによりも、この狙い済ましたようにばかげた直球勝負の記事を投げかけてくる「朝日新聞」がなかなかいい味出している。なんかこのあとこの署名を求めた女の子は赤旗に登場したり、朝日の自作自演説が流れたり、活動家説がながれたり、まあ私の周りで署名をする活動家なんて「緑の党」くらいしか知らないので多分そんなわけはないだろうな、と思うのだが、いろんな面白いことになっていた。しかし記事としては特に斬新なものでもないし、いい記事だとは思うが(俺は読売は死ぬほど嫌いなので)実際の紙面では2面見返し右上か一面左端のコラム記事だったんじゃないだろうか。そんなもんをweb上のトップに値するような位置に持ってくるところは、なかなか素敵ではある。そりゃこんな自分の主張丸出しの記事をトップに出せば批判もされるだろうさ。批判するほうはそういう意味では見事に朝日新聞の(議論を喚起すると同時に存在感をだすという)策略にはまったとはいえないか?読売は何年も前から紙面上でこれをやっているが(頼むから一面全面を社説にしないでほしい)、なかなか議論にならない。