柳橋連合市場

さて、今年最後の日、アメ横も錦小路も黒門市場もきっと活気付いていることだろう。こういう日だ、意味はないけれども商店街に行ってみよう。今年は元日が実家、それ以降は留守にすることもあって、まったく必要なものはないのだけれども。

博多駅からバスで10分、昔はどこにでもある古い商店街だねー、といった感じで目立たなかったのだが、最近にわかに料理ブームなのか商店街ブームなのか観光地化への道を歩き出したかに見える、柳橋連合市場。天神からもあるいて10分くらい、3分もいけば渡辺通りで大きなビルが立ち並んでいるんだが、ここは相変わらず昔ながらの風情が残っている。

行き先がぎっしり並んで2台に増設されたバス停が都心ですな。その向こうが柳橋。普段は土日がほとんど休みなので実は入ってみるのは初めてだ。




入ると、どこからもここからも威勢のいい声が飛んでくる。幅1メートルほどのアーケードの小道の両側にはぎっしりと店が並び、おじちゃん、おばちゃん、バイトから家族の子供まで一家総動員といった感じで店頭で忙しく動き回っている。さすが正月、一番の売れ筋は鰤だろうか、ほかにも蟹、お土産用だろうか辛子明太子、牛肉、馬肉、野菜、そしてもちから飾り物まで次々と店が現れる。「最後だから安く!」「来年もよろしくね!」そこここで会話が交わされ、お札がざるの中に投げ込まれてゆく。

まずい、思わずなんか買いそうだ(逆に買わないと邪魔なので申し訳ないんだけれども)。

さて、この柳橋連合市場、市場というが卸売市場ではなくて中小小売商店が集積した商店街のひとつだ。イメージとしては京都とかにある公設市場に近いだろうか。住吉通から入った小道にアーケードが何本かかけられており、複雑に交差している。そして特徴的なのは、商店の大半が生鮮食料品を商う店であること。博多の台所、といわれる由縁でもある.


博多駅前バス停3番乗り場から3つ目、柳橋で下車すると、向かいに斜めに入るかたちで市場があります。柳橋連合市場は幅1m程の小路に店が並び、数本ある路地にもそれぞれ店があり、約70軒が密集した市場です。全体の3分の1が鮮魚、塩干物の店で、辛子明太子など博多の味があふれています。玄界灘の活きのいい魚、冬は天然のとらふぐ、あんこう、あらなどが並び、福岡名物、屋台の食材は多くがここから提供されています。

市場の始まりは昭和の初め頃、大浜の魚市場から仕入れた鮮魚を大八車に乗せて販売していた安部明氏の店「明市場」でした。その後隣接地に商店が集まりサービス市場、中央市場等、各市場を形成。戦時中、一時業績は低迷したものの終戦と同時に再び急速な活況を取り戻しました。後に各店が合体し、「柳橋連合」と改称。任意組合のもとに統一され、平成4年8月、柳橋連合市場共同組合を設立。皆様に喜ばれる新鮮な博多の味を提供する場として今日に至ります。


こっちが柳橋の上から反対側。

ぐるっと回って裏側へ。こうしてみるとかなり古いアーケードが路地ともいえそうな道にかぶさっているということがわかる。木造の古びた、というか正直老朽化した、といってよさそうなアーケードの両側に看板が張り出している様子は北九州の旦過市場に似ているが、こちらは再開発、とかそういう話は聞いたことがない。もちろん現況からみて考えていないとは思えないが、こうした雰囲気は大事にのこすような方策で考えられないかなあ、とやはり改めて思うのだ。

古いものをそのまま残しておけ、今の雰囲気がいいからこのままほっておけ、というのではない。安全も大事だし、バリアフリー、買い物のしやすい環境というのも必要だろう。しかし、柳橋は玄人のお客さんが多いとはいうが、そんななかで普通の人も気軽に買え、またここで昔から商売をしてそういうものを福岡の町に供給してきたお店の方がおおくいるところだ。そして、ここで昔から脈々とものを作り、商売をしてきた人たち、そういう人たちがあつまって文化をつくってきた場所がここにあるのだ。そういうものだけはちゃんと引き継いでおける環境が必要なんじゃないだろうか。

つきたての餅っておいしいですよね。もうすぐ正月、来年もいい年になりますように。