牧のうどん

中の人は妙に気に入ったらしい、福岡のソウルフード、牧のうどん。長浜ラーメンよりも好きだ。

時刻はちょうど昼時、一気に店が込みだして外まで行列が伸びている。「お待ちの方は名前を書いて」なんてそんな面倒なことはしない。ただじっと並ぶのだ。回転が速いのであっという間に回ってくるけど、トラックの運転手さん、家族連れ、みんな並んでいる。さすがに今日は土曜日、家族連れ、しかも大家族がやたらと多い。福岡の家庭で外食といえばそう、牧のうどん。人数×600円もあれば納まってしまうはず、そういえば昔そうだったなあ、とか。
とかかんがえているとやっぱり順番はすぐに回ってきた。ここのパートのおねえさんってどこに行っても異常に仕切りがいいというかちゃきちゃきしているというか、戦場のように声が飛び交う。注文は伝票に自分で赤鉛筆で。

肉うどんに卵、600円くらいだったかしら。奥のやかんは継ぎ足し用のうどんのスープ。奥は山菜+山芋
こしがない、として知られる福岡のうどんだが、特にこの牧のうどんはこしがなく異常にもっちりしている。おかげでゆっくりと食べていると、だんだん麺がスープを含んでスープはなくなるし量は増えるし、という大変なことになる。


一般的なうどん店とは異なり、牧のうどんは讃岐うどんで見られる製麺所一体型のうどん店である。カウンターの中の調理場では、自動麺切り機と茹で釜がベルトコンベアーでつながれ、どんどん麺が送り込まれている。 さらに、一般的なうどんの「麺切り→茹で→(冷水での)ぬめり取りと絞め→ざるに上げ→再加熱→出汁かけ」の工程のうち、「ぬめり取りと絞め→ざるに上げ→再加熱」を省いていることが、同店の一番の特徴である。つまり、牧のうどんのかけうどんは、讃岐うどんでいうところの「釜かけうどん」(釜揚げうどんの麺に熱いかけ出汁をかけたもの)と同じである。これが元で省力化・時短化に基づくコスト圧縮が図られているのだが、一度も水で絞められていない麺は時間とともにどんどんふやけてくるため「食べても食べてもなくならない」原因ともなっている
なるほどそういうことだったのね、麺の固さは「硬め」「普通」「やわめ」となるんだが、やわめだとつまみむとぶつぶつきれるくらいのやわらかさだ。確かに昼時行くと中でごんごんと製麺機から麺切機を経て釜の中に自動で投入される麺がみれるんだが、確かに冷水にさらしているのを見たことはないなあ。
なんの気兼ねもなく、というか福岡そのものの味がする、というわけでお勧め。美味でした。
レジのところで「ご自由にお持ち帰りください」と大量の昆布がおいてあったり、お土産の持ち帰りセットがやたらと安かったり、讃岐のうどん屋とまではいかなくてもなかなかいいなあ、と思うのだ。