中心市街地の地価が高い

商店街の空き店舗、なかなか解消しない理由の一つに「賃料が高すぎる」というのが昔から言われている。


経産省の実態調査によると、06年中の一商店街における空き店舗数は平均で5.33店。同省は「空き店舗問題は未だ歯止めのかからない状況が続いている」と分析している。
中小企業庁が2008年5月12日に発表した、全国33商店街の空き店舗所有者114人に対して行った空き店舗所有者の意識等に関する調査・研究報告書(PDFファイル)によると、

  • 空き店舗となっている期間は1年未満程度が約半数を占めるが、10年以上も7%ある。
  • 空き店舗を所有している殆どの人が経済的にそれほど困っていない。
  • 4分の3の人が店舗として賃貸する意思があるが、賃貸条件が合わない、借り手がいないなどにより貸せていない。
  • 賃貸条件が合わない理由として、賃料の合意ができない、貸したい業種と適合しない、が多い。
  • 借り手がいないと答えた人の40%は不動産業者にテナント探しを依頼していない状況。
  • 3分の1の人が空き店舗を手放す意思はなく、理由として「代々の土地への思い」「場所へのこだわり」が多い。

などが分かった。

賃料は大体固定資産税ベースで算出しようとするので公示地価が下がらないと中々さげられないんだ、という話を何かで聞いたことがある。実態として、特に中心市街地の土地は利用してどれだけ価値を生み出せるか、だからこそ価格が高いんだ、という理屈で行けば、ぐっと実勢価格に近い形で賃料も下がってよさそうなものなんだが、実際はそうはいかない。かといって、税負担に耐えられずに手放すわけでもなく、ただ都市の中に塩漬けのように時の流れごと漬けられてのこってしまう、そういう風になっているらしい。それこそ、じゃあ街をどうしたいの?という話からじゃないと変えられないのかなあ。

そんなことを考えていると、こんなニュース。あっさりした解決の仕方だねえ。


 倉吉市議会は5日、同市大正町2にあったダイエー「倉吉サンピア店」(現在はマルワ渡辺水産所有)に対する固定資産税などの還付金2973万円を盛り込んだ08年度一般会計補正予算案を可決した。還付を命じた最高裁判断に従った。不動産の市場価値の低下を理由に固定資産税評価額を減点補正するのは全国初という。
 ダイエー側は04年5月、中部ふるさと広域連合に対して、店舗の商業環境が変わって店舗の価値が低下したとして減点補正を求めて鳥取地裁に提訴。地裁判決は「市場価値が低下している」と判示した。広域連合側は「家屋に対する固定資産税は所有という事実に課するもので、家屋の収益性の有無などは問わない」として控訴、上告していた。
 ダイエー側に返還されるのは、03年度から07年度の固定資産税と都市計画税。還付金が約2634万円、還付加算金が約338万9000円。
 地裁判決は、不動産鑑定などで地域の人口減少や高齢化で集客の増加が見込めない▽床面積が2万平方メートルを超える大型商業施設で他の用途への転用が難しいことなどから、「市場価値の低下」という需給事情を認め、30%の減点補正が必要と判示した。最高裁は先月、「上告理由に当たらない」として上告を棄却した。
 ダイエーは、大阪や神戸など全国の8店舗についても同様の訴訟を起こしたが、これまでに減点補正が認められたのは倉吉サンピア店だけという。【武内彩】
倉吉でだけ認められたというのは、ここが一番価値下落が著しかったということかなあ。行政としては、こういう流れになると確実に税収が減るわけだし、思いとしては「そもそも価値をさげたのはお前らが退転したからちゃうんか」とかそんな思いもありそうな気がするわけだけど。