ギンギラ太陽's「天神開拓史」

午後から掲題の劇を見にバスで天神へ赴く。そういえば、先週「福岡の副都心」香椎で美容室に行った際に「最近、生まれて二度目の東京旅行をした」という美容師さんに「福岡の街ってなんだかんだいっても歩いている人少ないですもんねえ」といわれて、「えー、そうですかねえ」とかいう話をしていたのだが、確かに通行量だけを考えると東京とはまったく違うんだなあ、と体感。もちろん天神の場合は主要な渡邉通りの下が地下街になっており、そっちの方が通行量が多いという話もあるんだけれども、「東京って、信号が変わると向こうから壁のように一列にだーっと人がきますよね。あれってぶつかるんじゃないかといつも思うんですけど」に同感。やっぱり都市の大きさがぜんぜん違うんだなあ、と。

ギンギラ太陽'sについてはかつても書いてきたので詳細は省略するが、この「天神開拓史」も、かなり前からちょっとづつ変わりながらも演じられてきたここ福岡は天神地区のお話。いまや九州の中心だとか浮かれている天神だけれども、歴史は意外と新しくって明治以降、というかほとんど昭和に入ってからの街なんだよ、という話、今回の話は「西鉄創立100周年」記念事業での特別公演ということになっているからか、1ヶ月の超ロングラン上演。上演スケジュールをみていると途中に何回か「学校貸切日」というのも設定されているのにへえ、という感じ。


 ホールに赴くと、飾られているのは戦前の福岡市街地図。板付空港はもちろんなく、名島に水上飛行機離発着場があったり、今の博多駅のあたりに農業試験場があったり・・・というものだが、こうしてみると街の大きな姿はたいして変わっていないのに驚く。


恒例の「西鉄バスとの記念撮影会」。お、新塗装「スマートループ」だ。

 さて、あっという間の約2時間。今回は大体戦前の話ということで直接は知らない(もちろんいつも通り、今の登場人物〜ソラリアプラザ、岩田屋新・旧館、三越、大丸、エルガーラ・・・という面々は出てくるんだけれども)んだが、西鉄を縦糸に、川端商店街、博多玉屋、松屋百貨店、岩田屋といった小売業を中心とした人たちを横糸に街の物語は紡がれてゆく。チョイ役としていつもの三越伊勢丹とかミーナ天神(躯体はマツヤレディスなんだけど)も出てくるんだけれども物語はほとんど昔の話で、九州鉄道、筑前参宮鉄道博多湾鉄道、福博電車、いとうづ遊園、今は呉服町にある喫茶店、ブラジレイロと今回ならではの出演人物(?)が出てきつつ、時代は進んでいく。
なんだろう、その街で街を相手に働いてゆくって楽しいよなあ。最後、座長である大塚ムネトさんの言葉で「これまでこんな劇を作ってきましたが、これまで出演しているお店や会社に1回も許可をとったことはございませんっ!でも、一度も文句を言われたことも、変えなさいといわれたこともございませんっ!」という言葉はいつものことだけれども、やはりいつものように胸を打つ。ちょっと今回は「西鉄マンセー!」なところもあるような気もするが、それはまあ仕方がないところだろうと思うのだ。やっぱりみんなこの街が好きなわけで、それはいろんな人たちがいろんな想いを作ってきたところだから、ということになるのだろうか。
いいですねえ、地産地消