スーパーは足場固めの時?

ダイエーが再生機構による再建の道を選んでからはや一ヶ月、すっかり株価も低位安定してしまってニュースにも出てこなくなったが、スポンサー探しに向けた作業は着々と進んでいる。ダイエーは本業に関係ない福岡ダイエーホークスの全株式を譲渡球団経営から手を引くことにし(実際には福岡ドーム他を保有する投資ファンドの意向だったようだが)、本業の方の資産査定も進んでいる様子だ。
最初に手を上げたのは50社程度、そこから産業再生機構は30社程度にスポンサー候補を絞り込んだ.切られたのは地方で数店舗のみの引継ぎ、関係会社単独での事業の引継ぎを申し出た会社の様子、本命と目され、全国で事業展開をしているイオン、イトーヨーカドーグループ(ヨーカドー、セブンイレブンヨークベニマル)、ウォルマートグループ、丸紅グループなどは当然のことながら残っており、実質このあたりから選ばれるんじゃないかというのはすでに言われている通り。

もちろん俺が興味を持ってるのは、なんだかんだいったって、全国の店舗網を(店は古いのだが、その分の得るものもあるわけだし、商圏自体は存続する)がさっと入手できるというメリットは大きく、物流網まで合わせたらかなり小売での寡占が進むんだろうなあ、そのうちアメリカみたいにどこまで行ってもウォルマートみたいになっちゃうのかなあ(東北はかなりそれに近いが)それはちょっとやだなあ、と思っているからだ。逆に出来るだけ小さい単位に細切れに地元資本を入れてゆけば、地産地消の新しい販路とかが出来たりするんじゃないかなあ、とか思っている.実際には「経済合理性に反する」のでそういう方式は採用されないんだろうが.


読者にクイズを一つ−。総合スーパーで、過去五年間の株価上昇率が最も大きい銘柄は?

正解はイズミ。中国地方が地盤で首都圏在住の人はおそらく聞いたことがない地味なスーパーだが、五年間で株価は実に三倍になった。

イズミの単独売上高営業利益率は実に4.0%だとか.同紙によるとIYは1.6%、イオンは1.4%なので、突出して高い.記事では「やみくもな出店による規模拡大に背を向け、既存店の整備を徹底した事が奏功.株価上昇は規模よりも質を追求するイズミの戦略を市場が評価した表れとも言える」と結んでいる.


ドイツ証券の朝永久美男アナリストは「人口減少を間近に迎える成熟化した日本では、規模拡大は小売業の利益を改善させないばかりか、他社から攻め込まれる余地を増やすだけ」と指摘。「ダイエー買収に割くだけのカネと人材があれば、自社既存店の止血を優先すべきだ」と話す.
たしかにこういう話は以前から出ている.日本のスーパーはもう飽和状態で、闇雲な規模拡大はかつてのダイエーがそうであったみたいに、破綻への道へとつながりかねない、ツウ話だ.で、大抵「今のイオンはかつてのダイエーに似ている」という風に話が行く.
しかし、やっぱり此処まで来ると規模を拡大し、パイの取り合いで一歩でも優位に立ちたいというのは各社の本音であり、現状ほぼ唯一の手段であるといっていいと思う訳で.東京では知られてないが、イズミも00年あたりから「ゆめタウン」の名で大規模店舗を相次いでオープンさせている.イオンほど大きくもなく、ちょっと田舎っぽさが抜け切れないいかにもスーパーのショッピングモール、といった感じだが、かなり頑張って商圏を広く取ろうとしているのは明らかだ。また、月間売上高を公表しているが、既存店の売上高は他社と同様にずっと100%を割り込んで、そこを新店がカバーするという構図はイオンなどとまったく同様だ。

そう考えると、どこがスポンサーになったところで、競争は激化するだけの話だ。まあ同紙では「機構がダイエーに全額出資する可能性も」とまで述べているが、実際にはそんなことはありえないだろうし。つぶしあった後にあるもの、つうのももうそろそろ考えてみてもいいんじゃないかいな。


ただとりあえず、イズミの経常利益率のヒミツについては考える必要がありそうだ.
お近くに住んでいる人、イズミのいいとこわるいとこ教えてください.